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果たして日本で「世界初、2nmの半導体量産成功」の声を聞く日が来るか? (1)
北海道千歳市に建設する工場のイメージ(画像: ラピダス発表資料より、作図協力:鹿島建設)[写真拡大]
2月28日、Rapidus(ラピダス)の小池淳義社長は、北海道の千歳市に先端半導体工場を建設すると発表した。
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ラピダスは22年8月に、キオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行という錚々たる企業から73億円の出資を受けて、日本の半導体産業再生を目指して設立された。
ただの新会社でないことは、経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が700億円の支援をすることでも明らかだ。経済産業省は4月25日に、ラビダスに対して2600億円の追加支援を行うと発表した。
ラビダスが注目を集める理由は、「27年を目標にファウンドリー(製造受託企業)として、回路線幅が2nm(ナノは10億分の1)の最先端半導体の量産を目指す」と宣言したところにある。
スマホなどの電子機器には最先端の半導体が、狭いスペースの中に効率よく詰め込まれ、考え得る最高の機能を発揮するように製造されている。限られたスペースにより多くの半導体を詰め込むためには、半導体自体が小さければ小さいほど良いという発想は自然だ。そして半導体のサイズに大きく関わるのが、回路の線幅だ。
現在「量産」されている半導体の最狭の回路線幅は3nmで、主役が台湾のTSMC、脇役が韓国のサムスン電子の2人芝居状態となっている。
ラピダスが目指す2nmの回路線幅は、現在の量産限界である3nmと比べると、僅か1ポイントのダウンでしかないが、面積に換算すると過半を超える縮小効果が生まれる。簡単に言うと、今まで回路線幅3nmの半導体を10個並べていたスペースに、余裕で20個並べることができる。現在は半導体を複層化する技術が進んでいるから、更に階層分の密集度を高めることが可能となる。
筐体の大きさを変えることなく、パフォーマンスを2倍、3倍に引き上げることが期待出来る訳だ。
九州に進出することで話題沸騰のTSMCが、熊本工場で製造する半導体の線幅は22~28nmで、10年前に量産化がスタートしたタイプだ。もちろん、価格が手頃で扱いやすい普及タイプだから販売先には事欠かない見通しだが、ラビダスが目指す製品との違いは明白だ。
ラピダスが線幅2nmの半導体を量産するべく歩み始めた背景には、22年12月に発表された米IBMとの提携がある。IBMは21年5月に、世界で初めて2nm半導体を開発したと発表しているが、研究室レベルの開発に止まっていて、未だに量産技術は確立出来ていなかった(続く)。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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