決算好調も深刻なTSMC離れ その理由は?

2023年2月17日 08:20

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●TSMC株の放出が目立つ

 半導体受託生産世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)株の大量放出が目立っている。

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 ロイター通信によると、著名投資家バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイは、TSMCのADS(米国預託株式)保有を約86.2%削減したことが、規制当局への提出資料で分かったという。

 バークシャー社だけでなく、ブラックロックやJPモルガン&チェースなど、大手の投資会社や金融機関も大量放出していることが発覚している。

 一方で、2022年の通期決算と2022年の四半期決算は大幅な増収増益であり、目立った死角は見当たらない。投資家たちの不穏な動きが意味することは何だろうか?

●株価も好調だったTSMC

 今回のバフェット氏らの大量放出により、株価は約4%下落した。昨年はバフェット氏が大量保有するというニュースを受けて、約40%以上も上昇していた。

 わずか1四半期での大量放出で、市場関係者は驚きを隠せない。今回のバークシャー社のTSMC株放出理由は明らかになっていない。

 台湾有事を警戒とも勘繰られるが、バークシャー社の副会長マンガー氏は台湾有事を重視していないと発言しており、その可能性は低い。

●懸念材料は?

 EV(電気自動車)向けや、データセンターなどのパワー半導体など、半導体への需要はまだまだ旺盛であることは間違いない。

 TSMCはアリゾナ工場や熊本工場建設など、インフラへの投資は今後も続く。

 一方で、世界景気の減速が顕著であり、需要が低下するリスクもある。ゼロコロナから転換した中国の経済再開というプラス要素もあるが、未知数である。

 積み上げた在庫を通常に戻す在庫調整が当面優先されると見られ、2023年の半導体はマイナス成長が予想されている。

 TSMCの2022年第4四半期の決算も大幅増ではあったが、予想を下回っており、前期からは鈍化の傾向が見られた。

 TSMCがどうこうよりも、今後の半導体業界に対する懸念が根強い。

 今回の株価下落は一時的であったとしても、景気の悪化と半導体需要に陰りが見え始めた時に、さらなる下落に警戒した方がいいかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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