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脂肪由来の物質から糖尿病の新しい治療法開発へ 群馬大らの研究
脂肪細胞からの因子により、膵β細胞の細胞分裂が促進される(画像: 群馬大学の発表資料より)[写真拡大]
脂肪細胞がエネルギーを貯める働きをしていることは、良く知られている。近年、脂肪細胞がさまざまなホルモンなどを分泌して体に作用していることが、明らかになってきている。群馬大学らの研究グループは、脂肪細胞が作る物質が、インスリンを分泌する膵β細胞を増殖させることが明らかになったと発表。糖尿病の新しい治療法として今後期待できるという。
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今回の研究は、群馬大学の白川純教授らの研究グループが、横浜市立大学、ハーバード大学医学部ジョスリン糖尿病センター(アメリカ)、アルバータ大学(カナダ)等との共同研究と行い、研究結果は10月5日付の「Cell report」誌に掲載された。
糖尿病には1型と2型の2種類がある。1型糖尿病は、自己免疫によりインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されてしまうことで起こる。インスリンを作ることができないため、インスリンを補充するための注射を打つことが生命の維持のために必須となる。
2型糖尿病は、肥満などによってインスリンの効きが悪くなったり、加齢や遺伝により膵臓の働きが悪くなってインスリンの分泌が下がることで起こる疾患だ。
2型糖尿病治療としては、食事や運動療法のほか、インスリンの効きや分泌を良くする薬、糖を吸収しにくくする薬、糖を尿で出してしまう薬などがある。上記の薬で十分な効果が見られない時などには、1型糖尿病と同様にインスリン注射を使用することもある。
今回研究グループは、インスリンの働きを阻害する物質を使用して、人工的にインスリンが効かない状態にしたマウスを「急性インスリン抵抗性モデル」として実験した。結果、これまで膵β細胞はインスリン受容体を介して増殖すると考えられていたが、このモデルではインスリン受容体に依存せず、膵β細胞が増殖することを確認。
そこで、どのようなメカニズムで膵β細胞が増殖するのかを、培養細胞を用いて調べた。すると、E2F1という遺伝子の発現を調節する転写因子と、CENP-Aという細胞の分裂を調節する分子によって膵β細胞の分裂が促進されていたことが判明。この増殖促進には、血液中を循環している脂肪細胞由来の物質が関与していることを突き止めた。
この循環している物質により、人の膵β細胞の増殖も促進。さらにこの増殖促進は、これまで知られている膵β細胞増殖の仕組みとは異なっていることを明らかにした。
インスリンの働きが悪くなったり量が減ったりすることで起こる糖尿病の治療として、そのインスリンを作る膵β細胞を増やす新たな治療法は、再生医療の1つとしても期待されるだろう。(記事:室園美映子・記事一覧を見る)
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