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世界最大の電波望遠鏡、地球外文明からの信号をキャッチか?
世界最大の電波望遠鏡といえば、プエルトリコにあるアレシボ天文台(直径305mの電波望遠鏡)を思い浮かべる人も多い。だが、残念ながらこの望遠鏡は2020年に老朽化で補助ケーブルおよびメインケーブルの断裂が起き、崩壊の憂き目にあっている。
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この事故から4年ほどさかのぼる2016年に、中国で直径500mの電波望遠鏡FASTが稼働を始めた。従って現在は世界最大の電波望遠鏡はこのFASTということになる。
AFP通信は6月15日、FASTにより北京師範大学の研究者らが、地球外文明から発進された可能性がある複数の信号をキャッチし、現在その詳細を追跡調査中であると報じている。
最近の発見では、マーチソン隕石からDNAやRNAを構成するすべての種類の塩基が発見され、さらにはやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルからは、20種類以上のアミノ酸が発見された。地球外生命の存在はもはや当たり前と考える根拠が揃ってきているのかもしれない。
FASTは、アレシボ天文台同様に盆地を利用して、中国南西部の貴州省に建設されたものだ。望遠鏡全体の方向を物理的に変えることはできないが、反射面を変形させる何千ものアクチュエーターによって、様々な観測電波源にフォーカスできる。
今回捉えられた信号については、電波源がどの方向からのものか、詳細は明らかにされていない。2020年末にプロキシマケンタウリの方向から、地球外文明からの電波の可能性がある信号をキャッチしたニュースが報じられたが、最終的にはこれは地球上の2種類の電波が互いに干渉したものであったとの結論に至っている。
今回の信号も研究者らが電波源を慎重に確認している最中で、地球外文明からの信号かどうか結論が下されるには、1年以上の時間を要するだろう。
今回のニュースの情報ソースは、中国国営の科学技術日刊紙のウェブサイトと見られるが、不確実情報と判断されたためか、現在は削除されているという。どの方向からの電波だったのか公開されていれば、世界中の研究者たちによる検証も迅速に進められたかもしれないのだが。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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