東京海上、建設機械向けにテレマティクスサービス開始 保険業界初

2022年4月6日 08:14

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建設機械向けレコーダーのイメージ(画像:東京海上日動火災保険の発表資料より)

建設機械向けレコーダーのイメージ(画像:東京海上日動火災保険の発表資料より)[写真拡大]

  • テレマティクスサービスの構成イメージ(画像:EARTHBRAINの発表資料より)

 東京海上日動火災保険は5日、建設機械向けのレコーダー端末を用いたテレマティクスサービス「Ci-REC(シーレック)」の提供を開始すると発表した。建設業のDX推進を手がけるEARTHBRAIN(アースブレーン)と共同開発したサービスで、保険の特約付帯で提供対象となる。端末はパイオニアと共同製作した。建設機械向けテレマティクスサービスの提供は、保険業界では初という。

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 Ci-RECが適用される保険は、建設機械を対象とした「動産総合保険」。動産総合保険では、火災や落雷、突発的な事故などで建設機械に損害が生じた場合に補償が受けられる。この保険に新設される特約を付帯した契約者が、Ci-RECのサービス対象となる。

 対象の契約者には、東京海上から前方にカメラが搭載された建設機械用レコーダー端末が貸与される。端末では建設機械の作業内容や稼働状況、位置情報などのデータを取得。データは、EARTHBRAIN運営のIoTプラットフォーム「ランドログプラットフォーム」に集まり可視化される。

 プラットフォームにはAIを用いた独自の機械学習モデルが搭載されており、稼働時間や速度・加速度情報などを解析。運用効率化に向けたデータ活用が可能となる。また、長時間作業など一定条件に該当した場合に休憩等を促すアラート機能も実装。事故発生時には、端末に録画された映像データで事故状況の把握も可能だ。

 対象となる建設機械は、掘削用油圧ショベルの「バックホウ」。特約の販売開始は2022年4月12日で、22年7月1日以降始期の契約が付帯対象となる。特約保険料は月額5,000円/台の予定。

 サービス提供の背景には、2018年から国土交通省が推進している建設業の生産性向上の取組み「i-Construction」がある。i-Constructionでは、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新まで建設生産の全プロセスでICT等を活用。25年までに建設現場の生産性を2割向上させることを目指している。

 共同開発を行ったEARTHBRAINは、コマツ、NTTドコモ、ソニーセミコンダクタソリューションズ、野村総合研究所の合弁会社として21年7月設立。前身は17年10月にコマツが設立したランドログで、事業開始以来、建設業界のIT化・デジタル化による生産性・安全性向上支援に取組んできた。

 一方で、建設事業者にとってはICT等の導入・維持で高額なコストがかかるケースが多く、導入を妨げる要因となっている。そうした課題をもとに、東京海上らは19年4月からサービス開発に着手。比較的安価に導入できるテレマティクスサービスとして、今回の提供に至ったという。

 東京海上らはCi-RECの提供で、建設現場の生産性・安全性向上への貢献を目指すという。今後はサービスを拡充していく方針で、建設機械のCO2排出量算定機能の追加などを予定している。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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