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「円の実効力低下」と「1ルーブル・1円割れ」を考える
2月17日にBIS(国際決済銀行)が発表した円の1月の「実質実効為替レート」は、67.55(2010年=100)と直近の最低2015年6月:67.63を下回った。
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周知の通り実質実効為替レートは、対ドルor対ユーロといった二国間の為替相場とは違う。OECD加盟国(38カ国)をはじめとする、約60カ国・地域の主要通貨との間の相対的な「力関係」を示す。それが約50年ぶりの水準まで低下したというのだ。
詳細にはバブル崩壊後の影響が本格化し始めた1995年(対ドルレートで、1$:70円台に突入)に、150台のピークに達している。当時と比べ円の実力は半分以下になったというわけだ。
「えらいこった」と直感した。
何故なら「円の実力の低下/円安」は通常時であれば、自動車産業に象徴される輸出にとり効果的に機能する。だがいま、日本の輸出は「低迷」という壁をぶち抜き切れずにいる。むしろ円の力の低下は、エネルギーや食料品などを海外に依存する日本には「輸入物価上昇⇔物価高⇒景気回復の重荷」というデメリットに働く。
BISの発表時点では既に、ロシアによるウクライナへの侵略が始まっていた。その後の動きは日々TV等で、「プーチンの頭の中を覗いてみたい」と増幅する怒りを覚えながら目の当たりにしている。
米国・EUを中心に西側諸国の対露(経済・金融)措置が、日を追うごとに強化されている。そうした流れの中で3月3日以降、ロシア通貨(ルーブル)の下落が急激化した。対円でも、1ルーブル:1円を大きく割り込んだ。
最大の要因は対露制裁の一環として執られた「ロシア中央銀行が持つ外貨準備高の凍結」とされる。通常時なら例えば、自国通貨(ルーブル)が米ドルに対し下落すれば外貨準備の米ドルを売り「ルーブル買い」で対応する。が、今回の制裁措置でロシアには、外貨準備による取引制限が凍結されたのだ。金融市場での「円売り/ルーブル買い」が不可能になった。故に1ルーブルは1円を割り込んだ。
ちなみにロシア中央銀行が明らかにしている(2021年6月末時点の)外貨準備高は、「ユーロ:32%」「金:22%」「米ドル:16%」「人民元:13%」「英ポンド:7%」「円:6%」。
日本政府もこの制裁に同調した。果たして「円・ルーブルの交換停止」は「円力低下」の影響が懸念される中で、どう影響してくるのか。
財務省の21年の貿易統計では、日本の輸出入総額に占めるロシアの割合は「輸出:約1.04%、輸入:約1.82%」。小規模。影響が出ても一時的、とする見方が強い。だが輸入総額約1兆5400億円のうち「LNG+原油」で40%以上を占めている点が、気掛かりではある・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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