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幻の花ラフレシアの新たな自生地を発見 国立環境研究所などの研究
ラフレシアは「世界最大の花」として知られているため、名前や姿くらいは知っているという人も多いと思うが、実は生息地は少なく、また生態に関しても謎が多い。そのラフレシアに関して、国立環境研究所らの研究チームが、これまで未知であった新たな自生地を発見した。
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今回発見された生息地は、マレーシアのボルネオ島、サラワク州にある。水力発電所を建造するためにとある集落をナハ・ジャレーというところに移そうとしたところ、そのナハ・ジャレーでラフレシアの生息地が見つかったのである。この地はそもそも非常にアクセスが悪く、滅多に人の立ち寄らない場所であったらしいが、開発がきっかけとなって人が訪れたことで今回の発見に繋がったのである。
見つかったラフレシアは、より正確に言うとラフレシア・トゥアンムデという種である。新種ではないものの、ナハ・ジャレーは過去に発見されていた生息地の東限よりもかなり東にある。
ところでラフレシアという種は、有名な話ではあるが腐臭に似た芳香を発して虫をおびき寄せる。このことから食虫植物と誤解されることが多いが、事実はそうではなく、おびき寄せた虫に受粉させて個体を増やす寄生植物であるというのが正しい。
巨大な花だからということもあるのだろうが、目に見える下限のサイズから成熟期(通常は10センチ~30センチ程度の花になる)に至るまでに1年ほどの期間が必要であるらしい、ということも今回の発見によって明らかになった事実の1つである。
ボルネオ島では熱帯雨林の開発が進んでおり、未知のラフレシア個体群がどこかに眠っているとすれば、それが脅威に晒される可能性は高い。ラフレシア生息地は同地では観光資源として高い価値を持つため、政府によって保護されてはいるのだが、サラワク州の生物多様性の全容に迫るべく、さらなる研究が必要であると言う。
なお、日本から参加して研究グループの中心になったのは国立環境研究所の竹内やよい主任研究員であり、ほかに京都大学、総合研究大学院大学、サラワク州森林局などが本研究に関わった。また研究の詳細は、3月1日付けで、日本熱帯生態学会の学術誌「TROPICS」に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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