関連記事
日本クラウドキャピタル、「FUNDINNO MARKET」の可能性とは 未上場株式民主化を目指す同社に注目
2021年12月8日サービス提供開始
柴原祐喜氏:日本クラウドキャピタルCEOの柴原と申します。本日は3つの事柄についてご説明いたします。1つ目が「FUNDINNO MARKET」について、2つ目が「FUNDINNO MARKET」創設の背景について、3つ目が「FUNDINNO MARKET」の可能性についてとなります。
「FUNDINNO MARKET」は、新たに2021年12月8日から開始した、未上場株の売買が可能になるサービスです。
「FUNDINNO MARKET」とは
「FUNDINNO MARKET」とは、日本証券業協会が提供する株主コミュニティを利用した、ネットで注文できる未上場株式のセカンダリーマーケットとなります。
株主コミュニティ制度について
株主コミュニティ制度とは聞きなれない方もいると思います。過去に未上場株式を売買する制度としてグリーンシート市場がありましたが、これに代わるものとして2015年5月から株主コミュニティ制度が施行されています。
グリーンシート市場が廃止された背景のひとつは、企業が参加しづらいマーケットであったことです。つまり、グリーンシート市場の場合、企業は有価証券報告書の提出義務および会計監査人の設置義務が求められていたため、利用しづらい側面がありました。
そのため、法改正により、有価証券報告書の提出義務や会計監査人の設置義務なしで未上場株の流動化が実現できるというコンセプトで、株主コミュニティ制度が開始されました。現在、国内の証券会社6社が株主コミュニティを運営しています。この運営会社は基本的にグリーンシート銘柄を引き継ぐかたちで運営しています。
株主コミュニティは、第一種金融商品取引業者のみが運営できる形態になっています。当社は、2021年10月22日に財務省関東財務局において第一種金融商品取引業への変更登録を完了し、12月よりサービスの運営を開始しています。
また、これまでインターネット上の未上場株式のセカンダリーマーケットは存在していませんでした。我々が日本で初めて、株主コミュニティ制度を使用し、ネットで未上場株式の売買注文が完了できるサービスを開始しています。
「FUNDINNO MARKET」取引の特徴
「FUNDINNO MARKET」取引の特徴は、3つのポイントがあります。1つ目は、各銘柄ごとに株主コミュニティへの参加申込みが必要となります。従来の上場株式ならば1つの証券会社を通して複数の株式売買ができますが、この株主コミュニティは銘柄ごとに参加している株主同士で取引が完了します。そのため、まずは株主コミュニティに参加していただく必要があります。
2つ目は、参加している株主同士で相対取引ができる仕組みとなっています。
3つ目は、すべての手続きはオンライン上で完了する仕組みになっています。
FUNDINNO MARKET 株主コミュニティの組成と参加
「FUNDINNO MARKET」に参加いただくにあたり、企業と投資家の両方に審査項目を設置しています。法令上に沿った審査を通過した投資家および発行会社のみが株主コミュニティ内で取引が可能になる仕組みになっています。
日本クラウドキャピタルが取組んできた3つの課題
「FUNDINNO MARKET」創設の背景についてです。日本クラウドキャピタルは、VISIONに掲げている「フェアに挑戦できる未来を創る」ために活動しています。そのために我々はまず、挑戦する方々にお金が渡る世界の実現を目的に運営を開始しました。
そこで初めに、家計つまり個人の投資家から直接リスクマネーを未上場企業に供給できる構造を作ることに着目し、3つの課題を設定しました。
1つ目は日本国のリスクマネーの供給量が少ないという課題、2つ目は情報の非対称性があり未上場株式市場が信頼されないという課題、3つ目は未上場株の流動性が乏しいという課題の解決を図っています。
日本と米国のベンチャー企業への投資
1つ目の課題の背景として、日本とアメリカのリスクマネーの供給量が大きく異なっているという点があります。ベンチャーへの投資額は、アメリカで約17兆円になっている一方、日本では約0.5兆円しかなく、今後日本経済を牽引していく新しい会社や事業にとってはお金がまだ物足りない状況になっています。
ベンチャー投資市場は拡大するものの、調達社数は伸び悩み
昨今、国内ではベンチャー投資市場の規模は年々増しているものの、すでに成長が見えているレイターステージの企業にはお金が集まっていきますが、まだ期が若くリスクが大きいシードステージ、アーリーステージの企業にはお金が集まりづらいという問題点があります。
国内のリスクマネー供給構造
このような問題点を解決するために、我々がまず着目したのは、国内のリスクマネーの供給構造です。スライドの図は経産省が出しているリスクマネーの供給構造になっています。簡単に説明すると、家計から未上場企業にどのようにお金が流れているのかを表しています。
家計つまり個人の投資家からは、まず証券会社を通じて上場企業へお金が流れます。次に、上場企業からベンチャーキャピタルもしくはプライベートエクイティファンドを通じて、はじめて未上場企業へお金が流れる構造になっています。この図を見れば、端的に資金調達手段が限定的であると言えます。
家計から未上場企業への直接投資①
このような供給構造を変えるシンプルな解決策は、家計から直接未上場企業にお金が流れる仕組みを作ることです。我々はその手段の1つとして、株式投資型クラウドファンディングを企画・運営してきました。
解決策:家計のお金を未上場企業に届けることを可能に
これは「FUNDINNO」というサービスで、家計から直接未上場企業にお金が流れる仕組みです。もう少し端的に言うと、個人の投資家が未上場株を直接購入できる仕組みとして運営を開始しました。
「FUNDINNO」は2017年4月から運営を開始し、現在取引累計の成約枠ベースで70億円を突破し、累計投資家も8万5,000名を突破しています。
家計から未上場企業への直接投資②
2つ目の課題である情報の非対称性の問題についてです。この問題を解決しなければ、未上場株の購入を不安に思われたり、未上場株式市場の信頼を築き上げることができないという課題となります。我々はこの課題のもと、投資家と起業家の情報の非対称性の解決に取り組んできました。
解決策:投資家と企業の情報の非対称性を解消
「FUNDOOR」というツールを用いて、この解決の方法を図っています。「FUNDOOR」とは、起業家と投資家とのコミュニケーションの質を高めることにより、未上場株における情報の非対称性の問題を解決していくツールです。
クラウド経営管理ツール FUNDOORとは
サービスの中身は、まず事業計画書に対して予実管理ができ、その予実データを株主が簡単に共有できる仕組みになっています。これにより起業家と株主とのコミュニケーションの質を高めようとしています。
また、それ以外の機能として、コロナ禍にサービスを開始した、オンラインの株主総会機能があります。この機能を実装することにより、コンセプトどおり、起業家と投資家のコミュニケーションの質を高め、情報の非対称性をなくすためのサービスとなっています。
未上場株式投資における循環サイクル
3つ目の課題についてです。家計つまり個人の投資家から未上場企業にお金が流れた後、その資金調達した企業の情報の非対称性をなくし、成長支援する分野を「FUNDOOR」が担っています。ここまで実現できると、最後の課題として、投資家にお金を換金できる場が必要になります。
そのため、出口が限定的で流動性に乏しい側面を持つ未上場株をいかに流動化させるかが我々の大きな課題でした。換金される場は3つあり、いわゆるEXITであるIPOおよびM&A、そして手段としての株主コミュニティ制度を用いた仕組みづくりになります。
IPOおよびM&Aの領域はすでにプロのプレイヤーが多くいますので、我々は紹介することに力を入れています。3つ目の株主コミュニティ制度を用いた仕組みづくりは、我々自身が行っていく必要があると考えています。個人の投資家にお金を換金する場を提供するため、今回「FUNDINNO MARKET」というサービスを開始しました。
未上場株式投資における循環サイクル完成へ向けて
「FUNDINNO MARKET」の位置付けとしては、IPO、M&Aに加えて第3のEXITの場を作ることにより流動性を高めることです。個人の投資家から未上場株へお金が入った後にマーケットのリスクマネーの循環を達成できるというコンセプトでこのサービスを開始しています。
日本の未上場企業の資金調達環境の課題と取り組み状況
あらためてまとめます。個人の投資家から株式投資型クラウドファンディングという手段を用いて未上場企業へお金が流れます。こちらの領域を「FUNDINNO」というサービスが行っています。
次に、未上場企業が資金調達した後、成長支援したり情報の非対称性をなくします。このように、未上場株式市場の信頼を高めることを支援しているのが「FUNDOOR」というサービスになっています。
最後に、EXITの場を多様化させるため、もう1つ手段を付け加えたのが株主コミュニティ制度を使用した「FUNDINNO MARKET」というサービスになります。多様なEXITが実現できるようになると、リスクマネーの循環が1巡、2巡、3巡と繰り返すごとに乗数効果も得て、未上場株式市場のマーケットの拡大ができると思い、この「FUNDINNO MARKET」を開始しています。
なお、個人の投資家にとっては、EXITの多様化は非常にプラスになると考えています。一般的に、未上場企業がIPOするまでの期間は約10年と言われています。その分IPOは期待値が一番大きいものになります。M&AはIPOに比べると期間が短く期待値が少ないものになります。
「FUNDINNO MARKET」は、IPOやM&Aに比べて期間が短い分、期待値が少ないEXITの場を提供することにより、株主の多様なニーズに応えられると考えています。
【IPO/M&Aへのステップアップマーケット】
「FUNDINNO MARKET」の可能性について説明します。「FUNDINNO MARKET」の活用例の1つ目としては、すでに「FUNDINNO」を利用している企業がIPOに向けてのステップアップ市場として利用いただきたいと考えています。
一般的にIPOするまでに約10年かかります。ベンチャー企業がIPOに進んでいく中、株主にEXITの場を用意することと、IPOに向けて加速するためにさらなる資金調達の場を得ることの必要に迫られます。それらの手段として、「FUNDINNO MARKET」で実現することにより、IPOやM&AというEXITに向けて加速できるように利用いただければと考えています。
【私募での大型調達】※2022年開始予定※
なお、「FUNDINNO」は公募投資という形態の資金調達になります。「FUNDINNO」の課題としては、公募投資を行う場合に、1社が1年間当たり1億円しか資金調達できないという制限があります。その代わり、有価証券報告書の提出義務なしに公募投資が実現できます。
個人の投資家による少額での出資になるため、資金調達する場合1億円の制限がつきます。1億円の制限がつくと、ミドルステージ、レイターステージといった、よりIPOやM&Aに向けて成長していくステージ側からすると資金ニーズを満たすことができませんでした。
新たに「FUNDINNO MARKET」を立ち上げることにより、ミドルステージ、レイターステージという後半のステージにいる企業の資金ニーズを満たすことが可能になると考えています。
【持続的な成長をする未上場企業の株式マーケット①】
「FUNDINNO MARKET」の活用例の2つ目として、「FUNDINNO」を利用していなくても、またIPOやM&Aを目指さなくてもエクイティファイナンスが実行できるマーケットにしていきたいと考えています。テーマとしては、持続的な成長をしていきたいと考えている未上場企業に「FUNDINNO MARKET」を利用いただければと考えています。
【持続的な成長をする未上場企業の株式マーケット②】
先ほど「FUNDINNO」の株式投資型クラウドファンディングには資金調達の制限がある話をしましたが、EXITとセットでないとエクイティファイナンスがそもそも実現できないという背景があります。現在、IPOやM&Aといった明確なEXITプランがある企業のみがエクイティファイナンスの対象となっています。
今回新たに作った「FUNDINNO MARKET」という新たな第3のEXITの場ができることにより、エクイティファイナンスを受けられる企業は広がりを見せることになります。そのような企業に利用いただければと考えています。
また、社会的課題解決を目指す企業は一般的に急成長を目指さない、あるいは目指すことが難しい企業が多いため、そのような企業にもエクイティファイナンスが実行できる側面を実現していければと考えています。
広がるFUNDINNO MARKET 活用企業イメージ
「FUNDINNO MARKET」活用の対象となる企業のイメージとしては、IPOやM&Aを目指すベンチャー企業や地域経済を支える中小企業、社会的課題解決を目指すソーシャルベンチャー、クラブチーム運営などファンを多く持つ未上場企業に利用していただければと考えています。
未上場株式の民主化へ
最後に「FUNDINNO MARKET」の使用イメージをお伝えするため、動画をご覧いただければと思います。
ご視聴ありがとうございました。我々日本クラウドキャピタルは、個人投資家にとって魅力的な、今までは購入できないような未上場株の世界を広げていきたいと思います。もしご興味がありましたら、まずはサイトを見ていただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。本日は貴重なお時間をいただき、また、ご清聴いただき、ありがとうございました。
スポンサードリンク
関連キーワード