洋菓子・スイーツの老舗:モロゾフもECの時代

2021年12月9日 15:21

印刷

モロゾフのクリスマス向け商品。(画像: モロゾフの発表資料より)

モロゾフのクリスマス向け商品。(画像: モロゾフの発表資料より)[写真拡大]

 モロゾフ(東証1部)。物販業を中心にEC化が急拡大している。外出自粛・在宅(勤務等で)時間が増幅する中で、おやつの類の市場はどんな変化の具合を見せたのだろうか。

【こちらも】回転ずしが、極洋の業務用冷凍食品を下支えしている

 モロゾフは神戸を拠点に洋菓子・チョコレートの類を取り扱っている。「百貨店内の店舗販売が主要な販売拠点」に率直に「?」を感じた。百貨店もコロナ禍の影響で、営業面で相応の制約・マイナス要因を背負わされてきたはずである。モロゾフの収益動向が気になった。

 前2021年1月期は、「13%減収、55.1%の営業減益」。対して今期は、「3.2%の増収、14.5%の営業増益」と小幅回復/持ち直し計画で立ち上がった。が、8月に売上高予想「9.5%減収」も営業利益を「65%の増益」に上方修正した。売上高の減少は「コロナウイルス禍の収束が見通し難」。だが「原材料費や物流コスト上昇」下で大幅な営業利益上昇には「?」。こんな事実に出会った。

 「単元株を半年以上継続し保有している株主に、オンラインショップでの自社商品購入時に20%割引」措置。着目したのはオンラインショップの存在である。決算関連資料には「ECの売上高比率云々」の記述は見られない。問い合わせた。人事総務部から回答が届いた。

 『国内のEC市場は拡大を続けており、このコロナ禍においても、さらなる拡大が見込まれている。当社においても自社サイト(モロゾフオンラインショッピング)に加え「Yahoo!ショッピング」、「楽天市場」に出店している。

 2021年のバレンタイン商戦では、ラインナップの拡充といった営業戦術により、ネット通販の大幅な売上拡大を図ることができた。また、最近の新たな取り組みとしては、2018年度にインターネット限定の商品を取り扱う「みみずく洋菓子店」を開設。販売は夜21時から24時までの時間そして、数量限定としている。

 また、百貨店などのネット通販でも当社の商品は販売されている。これからも上質なスイーツを、インターネットを通してお届けし、ネット通販の売上拡大を目指していく』。

 株価動向も、8月の営業利益上方修正を好感した。3月29日の年初来高値6050円から5月19日の同安値5170円まで整理された後のサプライズを受け、戻り基調へ。本稿作成中の時価は5000円台前半水準。

 業態によることは勿論だが、「ECが可能な事業」であれば、収益動向(株価動向)を捉える時「ECの有無」のチェックが不可避な時代となったと言って過言ではあるまい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事