黒田総裁、「ダブル円安」に何か妙策はあるか!?

2021年11月8日 16:20

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 10月15日の114.46円(ニューヨーク外国為替市場:ドル・円相場)以降、日々の円の安値はほぼ連日114円台が続いている(本稿作成中の11月5日は114.02円)。10月15日(但し、日本時間)は私の2年間で4回目の入院当日。

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 入院の詳細は、今回は省くが左胸の痛みと息苦しさ(息が切れる)との闘い。だがベッドに横になっているだけでは暇。スマホでニュースはくまなく、勿論株式市場・外為市場もチェックした。114円台に下がった円の動向が気になった。

 息苦しさが徐々に薄れ始めた頃、知り合いの外国証券のストラテジストに電話を入れた。「この円安はどう読むべきか」と。こんな事実を教えてくれた。

 「ゴールドマン・サックスの(米英亜3拠点の)アナリストが『enyasu(エンヤス)』というレポートを世界中の顧客宛に送り始めた」。が、この限りでは「円安」が分からないわけでもなかった。米国FRBによるいわゆる「テーパリング(金融緩和縮小)」、その先に待ち受ける「金利引き上げ」をドル・円相場は織り込んでいる過程と理解できるからだ。元々、円相場は日米金利差との連動性が強い。

 先のストラテジストから、「米国の投資銀行の市場調査本部が『FRBが年内にも踏み切るかもしれない利上げの1回分を円が織り込むには、4円以上の下落が』と発信している」と聞かされた。日銀の政策金利は、至る詳細は省くが『日銀当座預金の-0・1%誘導』が軸。FRBはFFレート0・00~0・25%誘導。FRBが利上げを開始すれば日米の金利差は当然、より開く。

 だが病床で思ったのは、「しかしほぼ既定の路線だけにこの間で、かなり織り込んでいるはず。円の売り方のポジションも既に高水準なはず」だった。

 やはり、と頷いたのは退院後の11月1日の日経電子版(有料会員限定:ネット版の採算で唯一儲かっていると言われるのだから、もっと値下げを!!)だった。『円安、世界で突出 トルコ・ブラジルに次ぐ下落率』と題する配信の中の、2つのグラフを見て得心が言った。

 『10月の主要国・地域通貨の対ドル月間騰落率』と『各国・地域のエネルギー余剰・不足の規模』。前者の上位5国には・オーストラリア・ニュージーランド・ノルウェー・ロシア・カナダがランキングされている。後者の上位5国にはノルウェー・オーストリア・コロンビア・インドネシア(前者では10位)・カナダが名を連ねていた。

 2つのグラフの上位国の共通項は何か。そう「資源国」である。国内需要を十分に満たし、余剰分の輸出で潤っている国々だ。周知の通り、OPECプラスが「増産見送り」の姿勢を崩していない。結果、日本では「ガソリンの上昇継続」に象徴的な「原料高⇔物価上昇」が、経済活動の大きなネックとなっている。円安進行を招きかねない矢継ぎ早に襲ってきた第2弾の爆弾である。

 円安が日本経済に及ぼす悪影響は、少なくはない。日本市場に魅力を覚えなくなった資金は、米国/産油国に流出する。こんなデータもある。円の購買力低下(実質実効為替レート低下)は、「今年9月時点で既に、最も高かった1995年4月の半分を割り込んでいる」「円が変動相場制に移行した70年代前半水準(1ドル≒300円)にある」。

 泥縄式に円安に振り回されかねない日本。何か打つべき施策はないのか。識者の見方は「まずは、日銀はマイナス金利(-0・1%)解除の方向を示唆するべき」などと、(外為市場にブラフをもかけうる)日銀の手腕を求めている。

 だが果たしてどうか。率いる黒田東彦総裁(77歳)にとっては2018年4月の就任以来執り続けてきた「自作自演」の金融政策を否定することにもなりかねない。と言って異例の2期目となった任期は2023年4月。それまで無策のままで円安を放置し続けたら、日本はどうなるのか・・・!?(記事:千葉明・記事一覧を見る

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