決戦は水曜日! 日経平均株価の命運を分ける総裁選の日程 後編

2021年9月29日 08:06

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 9月29日の「15時40分ごろ」には、新しい自民党総裁が決まるわけだが、今後の日経平均株価の動向を占う4候補者の金融政策に対するスタンスを比較すると、大きくは緩和促進派の岸田氏・高市氏、緩和縮小派の河野氏・野田氏に二分されているといえる。

【前回は】決戦は水曜日! 日経平均株価の命運を分ける総裁選の日程 前編

 まず、緩和拡大姿勢を前面に押し出しているのが、アベノミクスの再来「サナエノミクス」を提唱している高市氏である。高市氏は、日銀が達しえなかった2%の物価安定目標を達成するまで、プライマリーバランスの規律を凍結、つまりは財政の黒字化に拘ることなく財政出動を優先すると表明している。

 この方針には、安倍前首相の盟友である麻生財務相もさすがに難色を示したが、高市氏が総裁になるとすれば、日経平均株価はもう一段上を目指す可能性は高い。そして、岸田氏も、大胆な金融政策と2%の物価安定目標を継続、さらには、数十兆円規模の新たな経済対策を掲げる緩和拡大姿勢である。

 一方で、河野氏は金融緩和の継続には懐疑的であり、「インフレ率は経済成長の結果からくるものであるから、2%物価目標の達成はかなり難しい」「金融政策は日銀にある程度任せる必要がある」という発言からも、日銀の現在のテーパリング(金融緩和の縮小)姿勢がこのまま継続していくことになるだろう。野田氏もアベノミクスと一定の距離を置く。

 結果として、高市氏か岸田氏が勝てば株高、河野氏か野田氏が勝てば一旦上昇は頭打ちとなるという考え方が基本ではあるが、ここで1点だけ注意すべきことがある。それは、現在値上がりしている日経平均株価は、前回の記事でも書いた「勝利100%といわれている衆議院選挙期間中の株価上昇」に「先立って」上昇していることだ。

 つまりは、すでに4候補の金融政策に対するスタンスを確認しながらも「噂で買われた」とするならば、総裁選後にはどの候補者に決まったとしても一旦「事実売り」となる可能性がある。そして、衆議院選挙期間中に通例通り再上昇し頭打ち、新総裁によっては、そこからさらに上昇するというシナリオも十分に考えられる。

 29日の日本の株式市場は、決選投票に出る候補者が決まるタイミングでも(午後2時20分ごろ)、新総裁が決定するタイミング(午後3時40分ごろ)でも、大きく反応することが予想される。もちろん、新総裁が決定するタイミングは、日本の株式市場が閉場した後ではあるが、先物市場や各証券会社の日経CFDの動きを確認しておけばよいだろう。

 28日のアメリカ株式市場は、FRB(アメリカの中央銀行としての組織)によるテーパリング観測が強まり、ダウ市場、ナスダック市場ともに大幅な下落となっている。果たして日本の金融政策はFRBの真逆へ行くのか、それとも同調していくのだろうか。ますます総裁選の行方が見逃せない。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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