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相場展望7月8日 7月中旬からの4~6月決算シーズン入りに期待 8月後半からは軟調か?
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)7/5、「独立記念日」の振替休日のため休場
【前回は】相場展望7月5日 「雇用」に重きを置くFRBは、判断遅れる可能性 原油・商品・賃金が高騰、膨らむインフレリスク
2)7/6、NYダウ▲208ドル安、34,577ドル(日経新聞)
・6月米サプライマネジメント協会(ISM)の非製造業景況指数が低下し、米国景気がピークアウトしつつあるとの見方から、
(1)景気敏感株が売られた。
(2)安全資産と相対的にされる米国債に買いが集まり長期金利が1.35%まで下げた。
金利低下を受けて、ナスダック総合指数は史上最高値をつけた。反面、金利低下で利ザヤ縮小の懸念から、金融株の下げが目立った。
3)7/7、NYダウ+104ドル高、34,681ドル(日経新聞)
・長期金利低下で、主力ハイテク株に買い、ナスダックとSP500は最高値更新
・FIMC公表を受け、金融緩和の長期化観測強まり、株価上昇した。
●2.米国株 「中間決算で7月半ば~8月7半ば」までは堅調 ⇒ 8月後半以降は軟調予想
1)過剰マネーのなか好需給で、相場牽引役がハイテク株と景気敏感株が目まぐるしく交替し、指数は史上最高値を更新している。
2)しかし、相場の方向性が定まらず、「勢い」は感じられず。
3)相場の不安定さを示唆する指標は、危険点灯(6月末時点)
(1)シラー指数
(2)ブラックスワン
4)バイデン政権の政策推進力に不透明感
⇒ 勢いがあったのは、3月まで。
政策は、4月以降ダッチロール化へ?
・2兆2,500億ドルのインフラ投資計画
上院で、超党派グループと妥協したが、内容は縮小し、かつ増税なし。民主党左派はこの妥協案に反発
⇒ 先行きの視界不明
●3.米6月ISM非製造業景況指数60.1と、予想63.5・5月64.0を下回る(フィスコ)
●4.米10年国債利回り1.4%割れの1.357%で、3月以来初めて(フィスコ)
●5.注目の発表項目
1)6月FOMC議事要旨(6/15~16分)、7/7公表(DZH)
・テーパリング(資産購入の段階的縮小)開始や、利上げ開始に対するFRBのサインを見極めるのに重要。
・FOMC議事録公表で、金融緩和の長期化観測が強まった。
2)5月求人労働異動調査、7/7発表
・過去最多の4月求人数928.6万人からの増減に注目。(フィスコ)
・5月実績は920.9万件と、予想932.5万人・4月928.6万人を下回ったが高水準。予想を下回ったものの、依然として約800万人が就業しないため、人手不足の状況が続いている。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)7/5、上海総合指数+15高、3,534(亜州リサーチ)
・商品市況高が追い風となり、3日ぶりに反発した。
・アルミ、銅、鉄筋など主要産品の先物価格が軒並み上昇で、関連銘柄が買われた。
・ただ、中国経済回復の鈍化が警戒され、上値は重い。
・6月財新・非製造業PMIは50.3となり、市場予想54.9や前月55.1から低下し、水準を切り下げている。
2)7/6、上海総合指数▲4安、3,530(亜州リサーチ)
・政府当局から各分野に規制強化の動きが広がるなか、投資家心理が悪化する流れ。
・国家薬品管理監督局は医薬品開発を巡り新たなガイドラインを公表し、不透明感が意識され、医薬セクターは売られ急落した。
・中国証券監督管理委員会は7/5、証券市場の管理強化方針を表明した。
・中国ではこのところ、ネット企業に対する締め付けが強められている。
・半面、不動産株は高かった。
3)7/7、上海総合指数+23高、3,553(亜州リサーチ)
・前日、規制強化方針を受けて急落した薬品株に買いが入り、反動高した。
・中国の長期金利が低下したのを好材料とし、高PERの成長株が物色された。
・ただ、中国政府の規制強化に対する警戒感は根強く、上値は限定された。
●2.中国国家市場管理監督総局は7/7、三菱重工に合弁会社設立で独禁法違反と罰金(時事通信)
1)理由は、合弁会社設立の登記前に必要な届け出をしていなかったため。
2)罰金額は50万元(約860万円)。
3)3月にはソフトバンク、4月にはトヨタ自動車も同様の違反で罰金の対象となった。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)7/5、日経平均▲185円安、28,598円(日経新聞)
・東京都議選が7/4投開票され、国政与党の自民・公明が過半数に届かなかったことが、政局リスクを意識させた。
・米長期金利低下で運用収益悪化が悪化するとの観測から、銀行株が売られた。
・円ドルが、円安一服となり、自動車など輸出関連銘柄の一部の売りにつながった。
・コロナ感染再拡大と、ワクチン接種の一部自治体での滞りで、経済正常化が遅れるとの見方が上値を抑えた。
・ソフトバンクGとファーストリテイの2銘柄で日経平均を▲147円押し下げた。
・超閑散取引で、東証1部売買代金は1兆7,144億円と、今年最低だった。
2)7/6、日経平均+45円高、28,643円(日経新聞)
・石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非同盟の主要産油国で構成される「OPEC+」が、7/5の閣僚会議を中止した。協調減産を巡る不透明感から原油先物相場が上昇し、原油高の恩恵を受ける商社や石油株が上昇した。
・今日は上場投資信託(ETF)の決算日を迎えるため、分配金8,000億円の捻出に 伴う売りの需給悪化が懸念が重荷だった。
3)7/7、日経平均▲276円安、28,366円
・7/6発表の経済指標が市場予想を下回る結果となったため、世界景気の回復鈍化懸念で幅広い銘柄が売られた。
・中国政府による中国企業の海外での上場規制強化で、7/6の米株式市場で中国のハイテク株が売られ、中国配車アプリの滴滴出行などが急落した。東京市場でも中国企業に多く出資するソフトバンクGやファーストリテイも下落。
●2.日経平均は、7月上旬から8月半ばまで堅調と予想
1)企業業績の好調さが、7月半ば以降の決算発表で確認できると予想
2)この好調さを先取りする株式ラリーが始まったと、新高値銘柄数増加で推測
3)決算発表を控え好業績銘柄が、超閑散で株価軟調のなか、買いが進行し始めた
4)日経平均と新高値・新安値の推移
7/1 7/2 7/5 7/6 7/7
日経平均 ▲84円安 +76円高 ▲185円安 +45円高 ▲276円安
新高値銘柄数 35 43 75 70 55
新安値銘柄数 57 21 27 44 96
5)狙い目
旅行など観光 経済回復期待 JR東海
脱炭素 新産業政策期待
総選挙 国土強靭化対策 技研製
6)決算発表ラリーは8月半ばまで継続すると予想
●3.総務省発表、5月消費支出は1世帯当たり28.1万円と、前年同月比+11.6%増(読売新聞)
1)昨年は1度目の緊急事態宣言の影響で消費が抑えられており、大幅な増加となった。
2)2020年比で、宿泊料+16.6倍、鉄道運賃+95.7%、食事代+38.4%増と大きく伸びた。
3)2019年比で、宿泊料▲59.9%、鉄道運賃▲72.6%、食事代▲38.9%減と依然低い水準
●4.ガソリン小売価格は157.5円と、2年8カ月ぶりの高値、要因は原油高(NHK)
●5.企業動向
1)JAL 業績に「改善の兆し」 (テレ東BIZ)
国内線利用客/日:6月前半、2万人割れ⇒6月最終週3.7万人と回復基調
コロナ前10万人弱
LCC強化で収益力強化:新分野開拓で需要増と利益率向上
CO2排出削減 :省エネのエアバス導入、バイオジェット燃料共同開発
2)住友金属鉱山 脱炭素へ、自動車用電池の部材「正極材」生産能力40%増強(NHK)
投資470億円
●6.企業業績
1)イオン 3~5月期最終損益は+50億円と、3年ぶり黒字 (NHK)
2)わらべ日洋 3~5月期純利益は前年同期比8倍超に増加、米国に新工場(日経新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・6289 技研製 国土強靭化に期待
・9022 JR東海 旅行回復に期待
・7012 川崎重工 水素事業、医療ロボットに期待
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