日産、ルノー・三菱自とEV基幹部品を共通化へ 開発経費の大幅削減目指す

2021年6月4日 08:44

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 2日、日産のアシュワニ・グプタCOO(最高執行責任者)は、アライアンス関係にある仏ルノーや三菱自動車と連携して、EVの基幹部品の規格を統一して共通化することで、投資の重複を回避する方針を公表した。

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 現在は当該部品がそれぞれ3社独自の規格で製造されているため、アライアンスとして見ると2重・3重の開発投資が行われて、大きな無駄が発生しているという反省がある。共通化の目標はモーター、電池や車台などの主要部品の7割程度と目論んでいる。

 日産は自動車大手の中では早い時期にEV「リーフ」の量産を開始している。既に、車両価格を押し上げるバッテリー容量の抑制と、走行距離を確保するためにはバッテリー容量の拡大が必要という二律背反の調整に苦労してきた。

 反面では「リーフ」の開発や販売を通して、EVのネックやポイントなどを押さえているとも言える。その経験を生かして、EV化への加速度がつき始めた世界の自動車業界内で、3社アライアンスの存在感を高めると共に投資効率の向上を進めて、経営資源の最適な利用を目指そうとしている。

 内燃機エンジンの技術に関しては、世界のトップグループの一角に位置付けられる日産だが、モーターとバッテリーの組み合わせで駆動するEVは、遥かにシンプルな構造であるため参入障壁は相当低下した。正式発表が全く無い中で、米アップルのEV進出が注目を集めているのは、まさにその所以だ。

 EV化へ舵を切る既存の自動車メーカーの問題は、自社のサプライヤーとの距離感の持ち方だ。いくらEV化へ進むと言っても、現状では30年にEV車でガソリン車並みの利益を計上するというアバウトな目標がある程度だ。徐々に内燃機サプライヤーのウエイトをバランスよく引下げながら、EVサプライヤーとの取引を円滑に拡大すると共に適切な利益を確保するのは、容易なことではない。

 新規EV参入組の米テスラが迅速果断に意思決定を行うことによって、トヨタ自動車の時価総額越えを実現したのは、しがらみが無いことの恩恵もあるだろう。既存の自動車メーカーには長い歴史の中で築き上げたサプライヤーとの関係がある。経営合理化へ向けて非情な取引カットが出来なかった日産が、コストカッターのカルロス・ゴーンに名を成さしめたのにはそれなりの訳があるのだ。

 日産に限らず既存の自動車メーカーはEV化への転身と同時並行して、内燃機のしがらみからの円満な脱却を図らなければならない。グプタ氏が「予測できない事態(どんなことが起きても)に対応する部品の供給網形成が最大の課題だ」と締め括ったところに、思いが集約されていると言えるだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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