テーブルチェックの「コンタクトレス決済」拡充が改めて示す、飲食業界の厳しさ

2021年4月7日 08:26

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TableCheckの画面イメージ。(画像: TableCheckの発表資料より)

TableCheckの画面イメージ。(画像: TableCheckの発表資料より)[写真拡大]

 コロナ禍で最も経済的な打撃を被ったのが飲食業界であろうことは、広く報じられている。最大の要因は、いわゆる「時短要請」。それを象徴するかのように、こんな事態も発現している。

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 東京都が発した時短営業の「要請」に応じなかった飲食チェーン:グローバルダイニング(東証上場)に対し都は、特例措置法に基づき「(罰則付きの)命令」と強硬策に転じた。対しグローバルダイニングは「法違反」として、都を提訴という事由まで発生している。

 43店舗(内海外2)のレストランチェーンを展開するグローバルダイニングの前12月決算は「41%強の減収、12億円近い営業損失」。「都を提訴する」と発表した(3月22日)の翌日の株価は実に32.26%高(ストップ高買い気配)の値つかずのまま終えた。

 市場は「グローバルダイニングはスケープゴートにされた。ストップ高買い気配は大ピンチを余儀なくされている飲食業界への市場のエール」などとも言われた。

 意見は分かれるところであろう。が、コロナ禍以降、飲食業界がいかに苦しい日々を強いられているかはこんな現実にも見て取れる。

 前にも記したことがあるが、飲食業者の予約管理システムや飲食店の検索・予約ポータルサイトを運営する企業にTableCheck(テーブルチェック)がある。内外約7000店舗を顧客にしている。

 テーブルチェックが3月24日『コロナ禍の飲食店で広まる新たな非接触型決済 予約時カード登録「コンタクトレス決済」』と題するリリースを配信した。昨年8月4日に加盟飲食店向けに提供を開始した「コンタクトレス決済」の導入動向と、導入した企業の声が記されていた。

 システムは簡単に記すと、「密」対応用。ネットで予約時に「クレジットカード情報」を入力するだけで、店頭での会計が一切不要となる非接触型決済システム。客は予約して来店。ソーシャルディスタンスに沿った席で食事を楽しみ退店するだけ。領収書もオンラインで自動的に発行される。

 例えば導入しているスイーツ専門店(実名の記載あり)からの、「電話対応時にはパティシエも電話応対を強いられるなど非効率だったが、ネット予約の導入で解消された。店内・レジの密状態も回避できた」という声が記されていた。

 そんな「コンタクトレス決済」が開始当日(昨年8月3日)には64店舗だったものが、3月14日には207店舗まで広がり累計決済額は1億6000万円に達したと言う。

 システム導入も無論無料ではあるまい。売り上げ減の中でなんとか下支えの投資をせざるをえない。飲食店業界は確かに「コロナ禍に襲われた、死活状況に追い込まれた」と言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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