sell in mayが覚醒する アメリカの金融政策が与える影響と地合いのベール 後編

2021年4月6日 07:45

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 現在の金融緩和の出口戦略について、市場のコンセンサスが万全かといえば甚だ疑問だ。少なくとも昨今のパウエルFRB議長の発言からは、長期金利の上昇や、予想を大幅に上回るGDPの回復など、経済過熱感が客観視できる材料があるにも関わらず、長期に渡る金融緩和の必要性を粛々と説いているだけである。

【前回は】sell in mayが覚醒する アメリカの金融政策が与える影響と地合いのベール 前編

 もちろん、長期金利の上昇が一過性であり、現在の緩和策が国民の生活のために必須である理由があれば良い。だが現実的には国民への一律給付金が投資運用に流れた結果、ヘッジファンドを打ち負かすレベルになっていること(ゲームストップ社の株価暴騰)や、仮想通貨の暴騰などを鑑みれば、緩和マネーが飽和した副作用が起き始めているのである。

 万が一、この状態が継続し、コントロールできないほどに拡大すれば、新たな金融不安につながる可能性もあるだろう。そして、その可能性があるならば、今のうちに、出口戦略を示唆するような、一定のコンセンサスを得ておくべきではなかろうか。つまり、3月中旬に行われたFRB会合であるFOMC後の記者会見が、その最適なチャンスだったと思えるのだ。

 ちなみに、世界の株式市場は依然として堅調であるが、2月から4月にかけては、毎年の季節要因が相場を後押ししている可能性が高い。これは、特にアメリカにおいて、国民への多額の税還金が再投資に利用されるためだ。

 しかし、このような季節要因によって作り出される良い地合いには、金融不安につながるはずのニュースを包み隠してしまうという副作用がある。確かにこれまで懸念されていたはずのアメリカ長期金利の再上昇や、財源のための法人税増税周知、アメリカの未来の縮図ともいえるナスダックの株価が頭打ちとなっていることも取り上げられていない。

 何よりも、野村證券が大損失となったアルケゴス社関連のニュースに関しても、さして問題にはされていないといえる。本来、この問題は、新たな金融規制につながる可能性もある悪事例であるにも関わらずだ。

 その一方で、アメリカでは好調な経済指標が立て続けて発表されており、最重要の経済指標である「雇用統計」についても、3月の数値は市場予想をはるかに超えるポジティブサプライズとなった。如実な経済指標の回復は、FRBの出口戦略に大きなプレッシャーを与えるはずだ。

 もし仮に、昨今の経済指標を再評価し、次回(4月下旬)のFOMCの会見にて緩和終了のアナウンスを行うことになればかなり厄介だ。緩和終了というネガティブメッセージをきっかけに、近年鳴りを潜めていた「sell in may(セルインメイ、5月に売れ)」の好材料として、隠されている問題が再び取り出されるに違いない。さらに、ゴールデンウィークの連休中は、日本の投資ポテンシャルがほぼ機能しない「暴落チャンス」のタイミングなのである。

 FRBは、良い地合いを出口戦略のコンセンサス醸成に利用できなかったばかりか、隠された問題を蒸し返す役回りにさせられないだろうか。4月からゴールデンウィークまでの相場と長期金利の動向、そして、4月下旬のFOMCにおける議長会見には、十分に注意したい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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