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ニッチでリッチな企業とは、トリケミカル研究所(以下トリケミカル、東証1部)のような存在を言うのだろう。前1月期まで「8期連続売り上げ増」「5期連続営業利益増」、かつ3期間の売上高営業利益率は約25%。
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ビジネスモデルは「大手が参入しにくい数億から数十億円規模のニッチなマーケットに的を絞り、それぞれの製品でトップシェアを狙い取っていく」(太附/たづけ/聖社長)。
具体的にはトミケミカルの売上高の9割近くを占めるSi(ケイ素)半導体向け材料、とりわけ化学薬品。
周知のように、高性能・高集積化が進む最先端の半導体の開発が進められている。そうした流れに不可欠なのが「新化学薬品」。必要とされる絶対量は少ない。また半導体メーカーが製造する全てのデバイスで、最先端の物が占める比率は必ずしも高くない。
「最先端デバイスになればなるほど、新しい化学薬品が必要になるが市場自体は小さい。量が多少増えても大手には益はたかが知れているから手を出しづらい。0.1gの薬品をガラス瓶に入れて出荷するなんて言うのも少なくないわけだから」(太附氏)。結果、独占状態。顧客からの多品種・小ロット需要に、これまで開発してきた2000種にものぼる製品自体も大きな武器となっている。
そんなトリケミカルにも曲がり角はあった。旧ヘラクレス市場(現ジャスダック)に上場した2007年の翌年のこと。リーマンショックである。
太附氏は「半導体の生産ラインは、生産調整をする場合でも8割ぐらいは動いていた。100%止まるなんて言うことはなかった。それが数カ月にわたり完全に止まってしまった。うちの生産する素材も全く使われなくなってしまった。赤字に転落した」とした上で、こう言い及んだ。
「主力製品の利益率が急降下。これからもどんな事態に襲われるか分からない。リスクを分散する意味で、柱を1本でも多くしなくてはならない。以来、どんどん品種を増やし半導体向けの製品群の厚さを図る方針で今日に至っている。目下の主力製品は20種ほどになっている」。
今1月期は「10.7%増収、1.9%営業増益、売上高営業利益率26%」計画。そして今期を初年度とする3カ年の中計を発表している。「まずは2年度目の22年1月期の売上高100億円、営業利益26億円を確実に実現する」(太附氏)。
株価もニッチでリッチなトリケミカルを映し出している。本校作成時の時価は1万1000円出入り水準。年初来高値から10%余下値で踏ん張る姿勢を示している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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