中国を恐れ?EU自動車メーカー、水素エンジンに移行 (1) EUの雇用を守れ

2020年8月10日 06:49

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 水素エンジンが急速に注目されている。EUは、現在BEV、PHEVへの移行を急いでいる。だがその一方で、バッテリーメーカーが中国、韓国、日本とアジアに固まっており、EUの雇用促進には繋がっていない。

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 ほんの数年前なら問題としなかったのであろうが、BEVは部品点数が半減するため、バッテリー生産にまで関わらないと雇用できる人数に限りが出る。BEVによる失業が問題となってきたのだ。

 ポルシェ、ベンツ、BMW、VW、ジャガー、ルノー、シトロエンなどは、燃費規制を乗り越えるためBEVの開発を急いでいる。2021年はBEV車両の発表が相次ぐこととなる。

 しかし、トヨタのHVを排除するために考えられたであろうEU燃費規制の計算方法に対し、「発電、バッテリーリサイクルのCO2排出量、コストを無視している」などと批判が高まっている。そんな中、水素を燃料とするエンジンが急速に浮上してきたのだ。

 その水素エンジンは、トヨタが開発したFCV(燃料電池車)とは違い、水素を燃料とするレシプロエンジンであり、期待がかけられている。トヨタが持つFCV特許は解放されているが、FCVの普及には水素ステーションのインフラ整備が付いて回る。

 BEVの充電スタンドとは比較にならない投資が必要となる。水素ステーションの建設費は1カ所約5億円と言われており、維持費も高く、燃料費が高くなるとも考えられている。

 e-fuelと名付けられた水素燃料には、純粋水素とe-gasとされたCH4(メタン)燃料の両方があるが、e-gasで運転できるエンジンの開発が進んでいる。その理由については、製造にはエンジン、ミッションなど従来の自動車部品などが必要であり、これまでの自動車産業そのものの規模を維持でき、雇用を守れる可能性があることだと考えられる。

 また、従来のガソリンスタンドを多少の改造によってe-gasの供給スタンドとして営める可能性があるのだ。その結果、これまでの自動車産業インフラをそのまま利用できる可能性が高く、自動車関連産業の雇用をそのまま維持できる見込みがある。

 それに対し、BEV製造においては、もっとも複雑で技術レベルの高いエンジン、ミッション関係の技術も不要となってしまい、新たなバッテリー産業でアジア諸国に後れを取ることにもなってしまう。水素エンジンは、EU全体の経済規模を維持し、世界の覇権を維持していく上でも貴重である。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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