ワークマン、「楽天市場」撤退と今後の展開

2020年2月25日 08:19

印刷

ワークマンが新たに始めた「店舗在庫」による「店舗受け取り」通販。(画像: ワークマンの発表資料より)

ワークマンが新たに始めた「店舗在庫」による「店舗受け取り」通販。(画像: ワークマンの発表資料より)[写真拡大]

 ワークマンが2月末、楽天市場から撤退した。「一定額以上の購入に関しては送料無料(出展者負担)に対する反逆か」と耳目を集めたが、ワークマンでは「2020年3月期を目途に自社サイトのリニューアルを行っており、既定の方向。楽天さんとの契約更新は2月と8月。“リニューアル”のメドが立ったので更新をストップしただけ」としている。

【こちらも】知人の抗議で、作業着市場の拡充をあらためて痛感!

 周知のように、アパレルメーカーにとっては「販売コスト引き下げ」はいまや急務。

 では今後、ワークマンはどんな姿勢・枠組みでマーケットに臨むのか。「ZARA方式」が指摘されている。

 ZARAはスペインに拠点を構えるアパレル世界大手。日本を含む90余カ国に7420店舗(19年1月期上半期末時点)を展開している。

 並行し「EC」も展開。「次世代クリック&コレクト」と呼ばれるオムニチャネル戦略を執っている。「オンラインで注文を受け、EC向けの在庫を引き当てるのではなく店舗の在庫を引き当て、店舗で手渡しないしは店舗から出荷する」という枠組み。世界のアパレルメーカーの潮流にもなっている。

 だがワークマンは、その枠組みをそっくりそのまま取り込まない。異なるのは「店舗からの発送はしない」という点。ここにワークマンのビジネスモデルが滲み出ている。

 ワークマンの急成長は続いている。2020年3月期の計画は「9.6%増収、11.0%営業増益」。2月4日、第3四半期の開示と同時に「35.1%の増収(905億円)、39.7%の営業増益(189億円)」に「営業収入(売上高)増に伴う利益増」を理由に上方修正した。

 11月末段階の総店舗数は855店。そしてその9割がフランチャイジー(FC)。FCが急成長の原動力となっている。

 FC採用の要因が極めて緻密。1月7日の財経新聞経済欄にも記したが「個人契約のみ。法人・自営業者はノー」「25歳から55歳未満の夫婦での運営が原則」「店舗は本部が決定。地域性重視。居住地から40分以内の通勤距離地で運営。引っ越しを伴うようなFCはノー」。

 言い換えれば、EC併用によるオムニチャネル戦略が「FCの気勢を削ぐようでは元も子もない」し、「FCに負担増を強いるなど決してできない話」というわけだ。

 ワークマンの前期末時点の総売上高に占めるEC比率は1%。リニューアル後の初年度のEC売上高目標を30億円としている。FC軍による「受け入れ」が絶対条件となろう。
 動向を見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事