世界のエンジンから見えるもの (1/2) 「大きいことはいいことだ」アメリカンV8エンジン

2020年2月15日 16:26

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 自動車のパワープラントを知ることは、実は大変難しい。意外と思われる人もいるかもしれないが、その数は膨大であり、例えばVWゴルフのエンジンを網羅するだけでも難しいのだ。トヨタのエンジン、日産のエンジン、ホンダのエンジンなどのバリエーションも数知れず、それらの仕様を全て書き出すだけでも不可能だ。

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 ここでは「各国の特徴」を大枠で理解するだけにとどめよう。すると意外にそれぞれの「国民性」の特徴も見えてきて、世界情勢まで結び付けて考えることが出来るのだ。現在では、TNGAのように自動車製造の平準化を目指して、資金効率を上げる動きが主流と見なければならない。これは「投資」で企業を見ることとなり、世界情勢が見えてくるのだ。

■アメリカンエンジン

 アメリカのエンジンは「豪快」だ。アメリカは有数の産油国であったため、一時期「石油は水よりも安い」状況にあり、現在の「省エネ」「燃費向上」の考えとは程遠いものだった。

 アメリカを代表するクルマと言えば、「ピックアップトラック(PUT)」だ。広い国土は公共交通機関で網羅することはできず、自動車社会がいち早く形成された。その昔では「馬」である。

 アメリカ人気質は「豪快」を特徴としており、大きく、無駄が多い空間の使い方であり、クルマに強力な馬力が欲しければ、排気量を増やせばよいと考えられてきた。5000ccは当たり前で、7000cc、8000ccのV8気筒のモンスターが当然のように作られてきた。アメリカンエンジンだ。

 しかし時は流れ、「オイルショック」がやってきた。アメリカも石油輸入国になり、世界は省エネに向かって変換を余儀なくされていく。

 その後、巨体が「ノタうち回る」ように、アメリカンエンジンの苦悩がはじまった。それに対して、日本は繊細な国民性のため、オイルショックで省エネに世界が転換したことで、大きなビジネスチャンスをつかむこととなった。それが現在まで続いてきたのだが、EV化の流れでまた大変革が起きようとしている。

 アメリカンエンジンは、現在でこそダウンサイジングターボなど省エネエンジンが出来上がってきているが、それでも得意分野ではなく苦戦が続いている。アメリカはDOHCなど小排気量で大馬力を得ようとすることが苦手なのだ。

 現在でも小型エンジンでは世界をリードすることはできない。V6、直4、直3などはあまり感心した出来ではない。FF車の造りも褒められたものではなく、小型パワーユニットで世界をリードすることはなく、古き良き時代の「アメリカンV8」と記憶されていくのだろう。

 アメリカ人の優秀なところは「ダイナミック」であることだ。「豪快」と言っても良いのかもしれない。「大きいことはいいことだ」「小さいことは気にしない」と世界をリードしてきた。現在では、「GAFA」のように革新性で世界をリードし続けており、どこまでの実力が秘められているのか底知れない力を感じさせる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: 世界のエンジンから見えるもの (2/2) 「高回転型」ヨーロピアン、「省エネ」日本

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