ソースネクストによるアップアレイ株取得に見る語学学習の未来

2020年2月9日 08:10

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「ポケトーク S」(写真:ソースネクスト発表資料より)

「ポケトーク S」(写真:ソースネクスト発表資料より)[写真拡大]

 AI(人工知能)を活用した英会話アプリの人気が高まっている。この機運に乗じて、AI通訳端末「ポケトーク」の開発・販売元であるソースネクストも、言語学習領域での投資を拡大している。先日公表されたappArray(アップアレイ)との資本業務提携からも、ソースネクストがこの領域にかける意気込みのほどをうかがうことができる。

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 語学学習者の視点から、両社の資本業務提携の意義を考えてみた。

■ソースネクスト、アップアレイ発行済株式の4.9%を取得

 4日、ソースネクストとアップアレイが昨年夏に資本業務提携を締結していたことが正式に発表された。すでにソースネクストはアップアレイ発行済株式の4.9%に相当する3,000株を、6,165万9,000円で取得している。

■AI英会話アプリやオンラインコーチングで知られるアップアレイ

 アップアレイは2013年の創立で、AI英会話アプリ「スピークバディ」の開発やオンライン英語コーチングサービス「スパルタバディ」の運営を行う。

 スピークバディは、かわいいAIキャラを相手にいつでもどこでも1人で英会話の学習ができるスマホ向けアプリ。一方スパルタバディは、プロのコーチによるレッスンをオンラインで低価格に提供するサービスである。

 スタートアップ企業ながらAppStore・AI英会話部門ランキング1位、累計50万ユーザーなどのアプリ開発実績を持つ。

■「言葉の壁をなくす」のがソースネクストの使命

 このアップアレイに投資したソースネクストは、以前から「言葉の壁をなくす」というミッションを掲げていた。手のひらサイズのAI音声通訳端末ポケトークは、同社のミッション実現を推進する主力商品の1つだ。

 一方、言語学習領域への投資は、学習によるアプローチによって言葉の壁をなくしていく戦略として位置づけることができる。

 特に今回の資本業務提携でアップアレイには、英語をはじめとするAI言語学習サービスの共同開発のほかに、ポケトークの言語学習機能の強化で協働することが期待されている。

■レッスン機能でも進化し続けるポケトーク

 ソースネクストの投資の成果は、昨年末発売開始の「ポケトーク S」に搭載された「会話レッスン機能」で早くも実を結んでいる。この機能は、資本業務提携をもとにアップアレイが開発したものだ。

 ソースネクストがアップアレイ株取得を通じて得たものは、ポケトークのAI開発だけではない。アップアレイは人間によるオンラインコーチング・サービスも運営している。このノウハウを利用することも狙いのようだ。

 具体的には、外国人旅行客に対応するためポケトークを導入している顧客企業に対して、英語研修を提供することが検討されている。

 学習機能が強化されたポケトークには、通訳のみならず語学学習のパートナーとしての役割がこれから期待できる。語学学習者からも、成長し続けるポケトークには注目が集まりそうだ。(記事:ベルリン・リポート・記事一覧を見る

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