日本ユニシス、顧客への課題解決力強化で6年連続の営業利益率アップへ

2020年2月4日 12:36

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 日本ユニシスは1月27日、横浜銀行が導入するプロモーションプラットフォーム「Eltropy」の実証実験を支援すると発表した。横浜銀行は、SNSで顧客に送信したメッセージやデータファイルに関して、「Eltropy」を活用し、資料クリックや閲覧時間といった顧客行動を追跡、効率的なフォローアップを行う。

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 日本ユニシスは、大型汎用コンピュータの販売を目的として1958年、アメリカのUnysisi社と三井物産の合弁会社「日本レミントンユニバック株式会社」として設立された。1973年に設立されたコンピュータ関連のパロース社と1988年に合併して日本ユニシスとなり、現在では大日本印刷が持分法適用会社として株式の18.9%を所有する筆頭株主である。

 2019年3月期の売上高は2,990億円。セグメント別構成比は、ソフトウエアの請負開発を行うシステムサービスが32.1%、機器の売買、賃貸を行うハードウエアが18.3%。以下、ソフトウエア、ハードウエアの保守サービス、導入支援を行うサポートサービスが17.9%、情報システムの運用受託を行うアウトソーシングが17.1%、ソフトウエアの提供を行うソフトウエアが11.3%、その他が3.3%を占める日本ユニシスの動きを見ていこう。

■前期(2019年3月期)実績と今期見込み

 前期売上高は2,990億円(前年比4.2%増)、売上総利益は前年よりも44億円の増加で732億円(同6.3%増)。販管費の増加を1億円に抑制したことにより、営業利益は43億円増加の206億円(同26.3%増)、売上高営業利益率は5年連続で前年を上回る6.9%となった。

 売上総利益増加の要因としては、中小型案件増加による増収増益効果によりシステムサービスが34億円、サポートサービスが2億円、地方自治体向け案件の増加によりアウトソーシングが12億円、その他が1億円の増益。一方、収益性の高いソフトウエアが減少したハードウエアが5億円の減益であった。

 今上期(4-9月)売上高は1,497億円(前年同期比11.9%増)、営業利益110億円(同35.8%増)と好調な実績の中、今期は売上高3,070億円(前年比2.7%増)、営業利益230億円(同11.5%増)、売上高営業利益率7.5%を見込んでいる。

■中期経営計画(2019年3月期~2021年3月期)による推進戦略

 顧客・パートナーと共に社会課題を解決することにより、2021年3月期に売上高3,200億円(対前期比7.0%増)を目指して次の戦略を推進する。

●1.クリーンで持続可能なエネルギー社会実現に貢献

 ・非化石価値取引市場への取り組み拡大。

 ・電気自動車向け充電インフラネットワークと課金事業。

 ・AI、IOTを活用した新電力のエネルギーマネジメント。

●2.シェアリング・エコノミーやキャッシュレスによるスマートな消費社会の実現

 ・日産、ホンダ、フォルクスワーゲンへMaaSプラットフォームを提供。

 ・キャッシュレス決済サービスへの対応拡大。

 ・観光、エンタメプラットフォームによりインバウンド需要への対応。

●3.AI、ロボットなど新技術を活用し、労働生産性の向上に貢献

 ・西武新宿駅構内でAI監視カメラを搭載した警備ロボットの実証実験。

 ・自動運転シャトルバス実証実験。

 ・社会インフラ老朽化に対応した点検サービスの提供。

●4.戦略投資の推進

 ・ベンチャーキャピタル9ファンド、スタートアップ企業22社への直接投資。

 デジタルトランスフォーメーション関連サービスの拡大により、順調に業績を伸ばす日本ユニシスの動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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