関連記事
【日産は何を間違えたのか?(2)】日産に未来はない? トヨタ・Woven Cityを見よ!
(c) 123rf[写真拡大]
一方、日産の騒動をよそに、トヨタは「Woven City」(ウーブン・シティ)と呼ぶスマートシティー構想を掲げた。これは自動運転を軸に、今後日本社会の中で進む少子化対策に対しても意味のある、新規事業を掘り起こす実験と言える。
【前回は】【日産は何を間違えたのか?(1)】カルロス・ゴーン記者会見で語られなかった原点
中国などで提唱されてきた自動運転のセンサーなどをインフラとして組み込んで整備してしまう構想を、近未来都市の姿として実験しようと言うものだ。AIのための教師データ確保や、アメリカや中国社会を含め、社会の変化を現実のものと捉えているのであろう。現代においては、F1初参戦よりも壮大で現実的な実験であろう。
そうした情勢の中で、カルロス・ゴーンのようなグローバル経営者の必要性は少々的外れな部分もある。目前の業績を優先し、近未来の経営戦略の構築を怠るところだ。
つまりトヨタの最大の強みはその逆の、「創業家の経営」であることだ。「未来永劫の経営戦略」を立てることは、金融知識で育ったグローバル経営者では出来ないことだ。アメリカ企業の最大の利点と欠点は、半世紀の昔から言われてきた資金運用の「短期的経営戦略」であることだ。
「現在の配当金」を求める経営では、トヨタの「Woven City」のような長期的投資はできない。日産が掲げる「ルノー・三菱・日産」での3社連合では早晩限界が来るものであったと感じるが、それでは現実の市場の変化に早急に追いつく戦略的動きが必要だ。日産がこのほど発表した方針では、トヨタの現在までの動きに追いつこうとするだけでとどまっている。3社連合の目指す「新ビジネスモデル」の模索が必要だ。
カルロス・ゴーンのようなカリスマ経営者が必要な時期でもあるが、ルノーとの統合を前提では、日産側、日本側にとって都合が悪かった。
カルロス・ゴーンにとっては「妻と会えなかったこと」が逃亡の第1の理由であると言う。これは欧米の国際感覚では重要であり、共感を得られるものである。日本の検察当局がどれほど正当性を説明しても、それが国際標準ではなかったことが知れる。
カルロス・ゴーンの罪は罪としても、『日本の司法が国際標準で評価される機会が来た』と前向きにとらえ、人権を尊ぶ感覚を日本国が身に付ける良いチャンスとしてほしい。
それがグローバル経済に対応する試練でもあるのだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
スポンサードリンク