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マツダ3は「スカスカ」なのに自画自賛が過ぎる? ハイテクを理解できないユーザー
「MAZDA3」ファストバック(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]
マツダ3の評判が悪いようだ。「スカスカ」、試乗した評論家の多くも語っているこの感想の原因を探ってみよう。
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まず、多くの人がマツダ3の出だしのもたつきを感じているようだ。それは、発進の時にアクセルを踏んでも加速が遅い感覚だ。マツダはアクセル開度に対するエンジンの応答性を抑えているようだが、それがドライバーには「もたつき」と感じてしまう。これは、マツダ・CX-3に試乗した時にも感じたものだ。単に、アクセルの初動のあたりで、あまり急激にエンジン回転をあげないようにして、アクセルを踏み込めば踏み込んだように反応するのだ。
初めのところで微妙にアクセル操作しなくても済むため、「慣れれば、楽なはず」とマツダは考えているようだ。「自然体で」との配慮なのだろうが、これまでの自動車に慣れてきた身としては「違和感」一杯となってしまう。「のめり感」と言っても良いような、アクセルを踏んだ時、自分の体だけが前のめりになって加速が遅れる感覚だ。気持ちの良いものではない。「走らない」と言っても良い感覚だ。これは「商品力」として、真にマイナスだ。特に、マツダ3のような「スペシャルティーカー」のジャンルでは、致命傷になりかねない。
マツダ3の外観は必要以上にロングノーズ・ショートデッキのプロポーションで、精悍さを出している。なのに、乗ってみて反応しないことは重大だ。しかし、「もたもた」でなく「スカスカ」であることで、この問題の原因が見えてくる。つまり、「本当に走らないのではない」のだ。だから、アクセル開度の調整だけで解決できる問題なのであろう。
マツダの技術者は頑固であるのだろうか?市場の感覚と違うのであれば、「調整」が効くのだからスイッチを取り付ければ良いではないか。コスト的にもたいしたことはあるまい。しかし、「それではマツダ3ではない」との思いがあるのであろう。マツダ技術陣が思い描くフィーリングがあるのだ。
マツダ3のボディには、操縦性・乗り心地などに関係してくる新しい試みがある。「柔軟な関節」とでも表現すべきであろうか。スポット溶接でガチガチに固めるのではなく、接着剤にすることで衝撃を吸収する柔軟なつなぎ目だ。クルマの種々の振動が最終的に人体に伝わるメカニズムを解読し、「どの様な状態にしておくと乗り心地が良いと人間が感じるのか?」にこだわって完成させたすごい技術だ。
しかし、人間はこれまでの経験から物事を判断してしまうので、そのスムーズな動きを「スカスカ」と表現してしまうことになっているのだ。これでは「商品力」としては失敗である。「市場はお客様の心の中にある」ものであり、技術者が理想とするものと同じではないからだ。
マツダは「プレミアムブランド」を目指して、独自の立場を築こうとしている。商品開発としての「独自の味付け」を狙っていることは確かである。販売ルートの整理はかなりの痛みを伴っているようで、販売店数の減少にとどまらないようだ。しかしマツダは、スカイアクティブ技術の第2段階の中期事業計画を完成させるまでの「苦しい時期」と考えている。
それでも利益率を上げないと存亡の危機を迎えることとなる。トヨタグループの中で「プレミアムブランド」となることを目指しているのだから、「今少しの辛抱」と見守っていきたい。「スカイアクティブ-Xエンジン」が商品力に結び付かないので苦しいところであろうが、期待して待ちたい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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