原子力発電の温暖化対策効果は弱いとの調査レポート

2019年9月28日 21:12

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記事提供元:スラド

 taraiok曰く、

 原子力発電所はコストや建設にかかる時間などの点から地球温暖化対策としての効果が弱い、とのレポートが公開された(ロイターSlashdot)。

  World Nuclear Industry Status Report(年次世界原子力産業状況報告書、WNISR)の2019年版によると、原発の新規建設数は減少傾向にあるそうだ。これは、再生可能エネルギー技術の進歩が影響しているという。報告書の筆頭著者であるマイケル・シュナイダー氏によると、原子力発電は低炭素の競合技術と比べて、「より良く、より安く、より速く建設する」という技術的または運用上のニーズを満たしていないという。

 原子力発電所の建設に時間が掛かるほど、既存の化石燃料発電所による二酸化炭素排出期間は長くなる。「気候を保護するためには、私たちは最小限の費用で、最短の時間で最も多くの炭素を削減しなければなりません」とシュナイダー氏は語っている。

 また、太陽光発電の発電コスト(均等化発電原価:Levelized Cost of Electricity、LCOE)はメガワット時(MWh)あたり36ドルから44ドルほど、陸上風力発電はMWhあたり29ドルから56ドルだ。一方で原子力エネルギーは112ドルから189ドルの間と見積もられている。こうした結果、中国でも2018年の再生可能エネルギーへの投資は910億ドルであったのに対し、原子力には65億ドルしか投資していないとしている。

 WNISRによると、ここ10年で太陽光発電のコストは大幅に減少した一方、原子力発電の発電コストは上昇しているという。

 なお、マイケル・シュナイダー氏は以前より原子力発電について否定的な見解を示している。

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