アマゾン、全商品にポイント付与 公取委が重大な関心で「40条調査」の可能性も?

2019年2月28日 13:32

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 「優越的地位の濫用」とは,取引上の優越性が明らかな片方の当事者が、取引相手に対して通常の商取引では成立しないような不利益を不当に加えることを言う。 こうした行為は、公正な取引を阻害するとして独占禁止法で禁止されている。

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 例えると、「ドラえもん」に登場するジャイアンが無理難題をスネ夫に押し付けるようなこと。スネ夫は圧倒的な腕力を誇るジャイアンというガキ大将には抵抗できない。日本に伝わる「無理が通れば、道理が引っ込む」ということわざにも同様の意味がある。

 アマゾンは20日、5月下旬を目途に全商品の購入額の1%以上をポイント還元すると、出品業者等に通知した。アマゾンが自社の収支の中から原資をひねり出して、顧客にポイント還元するのであれば、異論を唱える出品業者はほとんどいない。ポイント相当分だけ売上から差っ引かれることが、出品業者に事前の相談も了解もなく、アマゾンの意向だけで進められているとすれば、公正取引委員会が排除命令命令の対象とする、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当する疑いが出て来る。

 優越的地位の濫用を巡る、アマゾンと公正取引委員会の攻防は過去にも行われて来た。競合する電子商取引サイト(ECモール)よりも有利か、少なくとも同等の値付けを求める「最恵待遇(MFN)」について、公正取引委員会が調査に着手したことがある。17年4月、結論を待たずにアマゾンが契約を見直し、その後3年間に渡って毎年1回、改善の状況報告をする旨の約束したため、6月に調査が打ち切られている。

 18年3月にも、公正取引委員会はアマゾンが出品業者に値引き販売額の一部を補填させた、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の疑いで調査に着手している。

 特定の取引先間の、固有の商契約が公になることはほとんどない。契約内容が不利な方に情報漏洩の動機が存在するため、情報の出所が簡単に特定されてしまう。同時に守秘義務契約が締結されていた場合には、情報漏洩が直ちにペナルティの対象となる。そして公正取引委員会の調査にとっては、これが真相究明の大きな障害になって来た。

 公正取引委員会は16年7月に液化天然ガスの転売制限に対して、「40条調査」を約40年ぶりに発動して話題になったことがある。商取引上の守秘義務を盾にしたり、後難を恐れて実態解明に非協力な場合に発動される強制調査だ。この「40条調査」が今回の「勝手にポイント騒動」に発動される可能性も論じられ始めた。

 公正取引委員会は06年に大手ECモールと出品者の間の、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)へとつながる恐れを指摘した調査報告書を発表している。その後の調査で、07年に「独禁法に抵触する問題はない」と一度は結論を出した。しかしその後10年以上を経過し、大手ECモールと出品者に関わる問題が再度噴出し、アマゾンという巨大プラットプラットフォーマーが出現するという環境の変化もある。そこで今回、公正取引委員会はアマゾンや楽天等のECモール運営会社に対する調査を行うことになった。有体に言えば、1月から始めているプラットフォーマーに対する実態調査に、この問題も含めてしまえるタイミングにも恵まれた。

 公正取引委員会が独占禁止法に関わる問題でアマゾンと対峙するのは、今回で3度目となる。果たして「3度目の正直」で、独占禁止法が適用されることになるのかどうか。今回の結果が、今後のECモールと出品者の関係に大きな影響を及ぼすことは間違いない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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