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日産・可変圧縮比ターボ(VCT)・エンジン(1) カルロス・ゴーンの矛盾 EVでなかったのか?
日産が開発した世界初となる量産型可変圧縮比エンジン「VCターボ」。(画像: 日産自動車の発表資料より)[写真拡大]
■カルロス・ゴーンの方針のブレ?
日産自動車がアメリカで発表した「インフィニティQX50」のエンジンは、「可変圧縮比ターボ(VCT)・エンジン」(Variable Compression Turbo Engine)であった。これは、日産が20年以上をかけて開発したと伝えられている。この方式に期待がかかるのは、「熱効率50%以上も夢でない」からだ。すると、低性能の火力発電よりも熱効率が良いこととなり、EVの意味がなくなってしまうのだ。熱効率が60%に達すると、自然エネルギー発電でなければ、ガソリンエンジンによる個別発電のほうが熱効率に優れており、EV化はむしろCO2排出量が多くなってしまうこととなる。これは、日産のEV化に絞った方針の矛盾ともとれる技術なのだ。
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一方、マツダは、「SKYACTIV-X エンジン」で「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)を主張して、ガソリンエンジンの改良に努めてきた。その方針と真っ向から対する日産のEV路線は、「発電を除いて自動車単体でCO2削減する」方針だ。根本的矛盾とも取れる技術開発の方針だが、日産もやはり「全方位」の準備を進めているのだろうか?「長期方針」を考えにくい短期資金効率優先のファンド体質の現れなのであろうか?
20年前と言えば、カルロス・ゴーンが日産に乗り込んできた時期と一致する。当然に、技術開発継続を許可したのは彼だ。よほどこのエンジン開発責任者がしっかりとした人なのであろう。というのは、ゴーンは責任者の取り組む姿勢を見て、承諾する方式だ。良いも悪いも、しっかりとコミットメント出来る人材を信用する。自動車技術に見識があると言うよりは、実行する人間の資質を見抜いて決断するのが投資家のコツのようで、自動車市場の動向と、必要な技術の見通しを正確に見通せていなかったのかもしれない。
この理想のエンジンと言われる技術開発を許しながら、当時、他社より一歩進んでいるとされていたバッテリー開発を売りに出し、また最近、バッテリーベンチャーに投資するなど、やはり日産のEV路線も揺れているのだろうか?当時、少なくともカルロス・ゴーンは「日産は、HVではなくEVで行く」と語っていた。しかし出来上がったのは、かなり実用化の難しい、理想的と言われたエンジン技術だった。日産は、方針としてはEVだが、エンジン技術などの開発も続けていくとは明確にしてきてはいない。全車EVになるまでのつなぎの技術の位置づけなのだろうか?
それとも将来は、「e-POWER」などのレンジエクステンダーの発電用パワーユニットを目指しているのかもしれない。これは興味がある。
次は、理想のエンジンと言われる日産・可変圧縮比ターボ(VCT)・エンジンとは?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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