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「水」を含む小惑星17個を新たに発見 地球の「水」の起源か 神戸大など
C型小惑星の形成と進化の過程 (C)神戸大学、JAXA、東京大学[写真拡大]
神戸大学大学院理学研究科 惑星科学研究センターの臼井文彦特命助教らの研究グループは17日、小惑星帯にある66天体のうち17個の小惑星に水が含まれていることを発見したことを発表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の赤外線天文衛星「あかり」の観測結果に基づく、10年間に及ぶデータ解析の結果だ。
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研究は、臼井助教のほか、JAXA宇宙科学研究所(ISAS)大学共同利用実験調整グループの長谷川直主任研究開発員、ISAS科学衛星運用・データ利用ユニット宇宙航空プロジェクトの大坪貴文研究員、東京大学大学院理学系研究科の尾中敬名誉教授によるものである。
小惑星のスペクトル分類では「S型小惑星」や「C型小惑星」などがある。「C型小惑星」の隕石は南極でよく拾われており、炭素を含むことから有機物であり水を含むと考えられている。今回の観測では「C型小惑星」22天体中、17個に水を含む岩石を発見した。
小惑星の水の存在を観測することで、太陽系形成時の環境や地球の水の起源について貴重な情報を得ることが出来る。「含水鉱物」という、酸素・水素の原子からなる水酸基(OH結合)やH2Oを、何らかの形で構造の中に含む鉱物が小惑星に見られた。「含水鉱物」は隕石の中にも発見されている。太陽系における水の分布を研究するには、さまざまな小惑星の「含水鉱物」の存在を調べることが重要となる。
小惑星は太陽の光を反射する。可視光では見えない物質、鉱物や氷の特徴を赤外線の波長を使って調べる。これを赤外線スペクトルという。 しかし、地上からでは大気による水蒸気や二酸化炭素の影響で観測することが出来ない。そこで大気の影響を受けない宇宙空間で観測出来る「あかり」により、小惑星の赤外線分光観測が行われた。調べる小惑星66天体は前もって選ばれた。
「C型小惑星」に注目すると、その形成は大昔に岩石と「氷」が集まって小惑星を形成したと考えられ、「氷」が存在するような低温の環境があったと思われる。次に岩石中の放射性同位体の崩壊熱で「氷」が解けて液体の水となり「含水鉱物」が生成された。その後、時間をかけて二次的な加熱(太陽からのプラズマや微小隕石の衝突などのエネルギー)を受けることによって徐々に水を失っていくという過程を経る。
次の3天体はいずれも「C型小惑星」に属する。アメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機「オシリス・レックス」で観測を行っている小惑星「ベンヌ」、小惑星帯にある星の中で一番大きく、同じくNASAの探査機「ドーン」により観測された小惑星「セレス」、JAXAが探査機「はやぶさ2」で観測を行っている小惑星「リュウグウ」である。
「ベンヌ」は12月10日(日本時間11日)に水を発見したと発表があった。「セレス」は2014年1月、2カ所からの水蒸気の噴出が確認されている。「リュウグウ」は予想よりも水が枯渇しているのではないかと考えられている。
「あかり」による小惑星の観測により、全天サーベイ観測から5000個を越える小惑星の直径と表面反射率を決定し、現在小惑星帯の総質量の98%以上を完全に網羅した世界最大規模のデータベースになっている。
また、本研究は学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan(日本天文学会欧文研究報告)」にオンラインで17日に掲載された。
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