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ソフトバンク、フランスで最大13.8兆円のAIデータセンター投資——原子力電力を武器に欧州最大規模の建設へ

ソフトバンクグループは、フランスで合計5GWのAIデータセンターを建設・運営する計画を発表した。Photo by İsmail Enes Ayhan on Unsplash[写真拡大]
ソフトバンクグループは、フランスでAIデータセンター合計5GW(ギガワット)分を建設・運営する計画を発表した。投資総額は最大750億ユーロ(約13兆8000億円、1ユーロ=184円換算)に上る可能性があり、孫正義会長兼CEOが「Choose France」サミットに直接出席して表明した。計画は複数フェーズに分かれており、最初のフェーズは確約済みだが、それを超える部分は条件付きの拡張オプションとして示されている。AI開発に不可欠な大規模電力の確保が競争の軸となる中、フランスの豊富な原子力電力インフラが投資先選定の決め手になったとみられる。
■孫正義氏がパリで直接発表、欧州最大規模のAIインフラ投資
ソフトバンクグループは6月7日(現地時間)、フランスでAIデータセンター合計5GWの建設・運営に向けた投資計画を発表した。TechCrunchの報道によれば、今回の発表はソフトバンクとして欧州最大規模のAIインフラ投資となる。孫正義会長兼CEOが「Choose France」サミットに出席し、みずから計画を公表した。
投資はフェーズ制で進められる。CNBCの報じるところでは、第1フェーズとして約450億ユーロ(約520億ドル、約8兆3000億円)を投じ、2031年までに北部オー=ド=フランス地域圏にある3拠点(ダンケルク、ボスケル、ブシャン)で3.1GWを整備する計画だ。発表のタイミングはソフトバンクが日本の時価総額首位に立った時期と重なり、同社の企業価値においてAIインフラ投資がいかに中核的な位置を占めるかを示している。
■電力がAIの立地を決める時代——フランス原子力電網の強み
フランスが投資先に選ばれた理由は、電力事情にある。フロンティア(最先端)AIモデルの学習・推論は産業規模の電力消費を伴う。新たなデータセンターキャパシティの拡大において、もはやボトルネックはシリコン(半導体)や資本ではなく、大容量かつ安定した低炭素電力の確保だ。
フランスは電力の大部分を原子力で賄っており、豊富かつ出力調整可能(ディスパッチャブル)な低排出グリッドを持つ。データセンター需要急増で地域電網が逼迫している米国の一部地域とは対照的な強みだ。Tom's Hardwareも、フランスの原子力グリッドは米国の多くの立地が持ち合わせない資産だと指摘している。
■ EDF・シュナイダーエレクトリックとの連携で既存インフラを活用
この優位性はプロジェクト設計に直接反映されている。フランス国有の原子力発電事業者EDF(エレクトリシテ・ド・フランス)がパートナーとなり、ブシャンにある旧火力発電所の敷地を提供する。既存の送電インフラが整備された旧発電所跡地を活用する判断は、象徴的なものではなく純粋に技術的な意味を持つ。大規模建設において最もリードタイムが長い要素の一つが高圧送電線の接続であり、旧発電所跡地はその問題をはじめから回避できる。
また、ダンケルク港では、フランスの電力・冷却システム大手シュナイダーエレクトリックとの協業により、大規模な産業クラスターの整備が計画されている。
■ 5GWとはどれほどの規模か
5GWという数字は桁外れだ。一般的なデータセンターキャンパスの規模は数十MWから数百MW(メガワット)程度であるのに対し、5GWは大型原子炉数基分の発電出力に相当する。これを実現するには、サーバー棟の建設にとどまらず、送電設備、変電所、大規模冷却システム、そして長期にわたる電力供給を保証する複数年の電力契約が必要となる。
原子力発電と同じ敷地に計算機インフラを置く共立(コ・ロケーション)方式は、送電ロスを低減し、化石燃料依存グリッド特有の電力価格変動リスクからプロジェクトを守る効果もある。
■ 欧州の「電力による競争」とAIのコスト問題
今回の投資表明は、欧州がAIインフラの誘致において米国や湾岸諸国に対抗する意志を持つことを示す最も明確なシグナルといえる。フランスとしては、安価で安定した低炭素の原子力電力がAI産業において恒久的な競争優位になるという賭けに出た格好だ。
電力の観点はデータセンターを利用しない一般読者にとっても無縁ではない。AIの電力需要は急増しており、余剰低炭素電源のない地域では同様の設備増強が家庭向け電力料金の上昇や地域電網の逼迫に波及する事例がすでに起きている。フランスの原子力余剰電力はこうした圧力を国内では緩和しているが、そうした条件を持たない地域への含意もある。
■ 資金はまだコミットメントの段階
数値はあくまで投資コミットメントであり、実際に支出された金額ではない。450億ユーロ超の部分については確約ではなく拡張オプションとして示されており、計画の方向性は明確だが、全額が保証されているわけではない点に留意が必要だ。
■注目ポイントQ&A
●ソフトバンクはフランスのAIデータセンターにいくら投資するのか?
最大750億ユーロ(約13兆8000億円)の投資でAIデータセンター5GW分を開発するとしている。第1フェーズは約450億ユーロ(約8兆3000億円)で、2031年までにオー=ド=フランス地域圏に3.1GWを整備する計画です。
●なぜフランスが建設地に選ばれたのか?
フランスは電力の大部分を原子力で賄っており、豊富で低炭素かつ安定した送電網を持つ。現在、新しいAIデータセンターの拡張における最大の制約は電力確保であり、フランスの電力環境はこの条件を満たす。国有電力会社EDFがプロジェクトに参画し、既存の送電インフラを持つ旧発電所の敷地を提供します。
●AIデータセンターの増加は家庭の電気代に影響するのか?
影響が生じる可能性はあります。余剰低炭素電源を持たない地域では、大規模AIインフラによる需要増が地域電網を圧迫し、家庭向け電力料金の上昇要因になるケースがすでに報告されています。フランスは原子力余剰電力でこの圧力を吸収できる構造となっていますが、そうした条件のない地域では同じ課題が顕在化しやすい状況です。
・元記事
SoftBank Bets Up to €75 Billion on Nuclear-Powered AI Data Centers in France
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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