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慢性的な腰痛には遺伝子が関連する可能性が 米国と英国の研究
●世界中に一定の罹患者が存在する腰痛
シアトルの退役軍人病院とロンドンのキングス・カレッジの共同研究によると、腰痛に関連する少なくとも3つの遺伝子が発見されたという。世界保健機関(WHO)によれば、腰痛は世界各地に一定数の患者が存在する疾病である。今回の研究結果が、新たな治療法の開発につながるのではと関係者は期待している。
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●3カ月から6カ月、持続的な腰痛を患っている3万人近くを調査
腰痛とは一般的に、腰部の連続的かつ持続的な痛みを特徴とする。科学雑誌『プロス・ジェネティクス』掲載された今回の研究では、この腰痛の原因の一つとして遺伝子もありうることが明らかになったという。
研究チームは、ゲノムワイド関連解析によって欧州にルーツを持つ15万8千人余を調査、そのうち2万9千人は3カ月6カ月にわたり腰痛を患っていた。彼らのDNAが、より詳細に分析された。
●腰痛に影響するSOX5遺伝子
その結果、少なくとも3つの遺伝子が腰痛に関連する可能性が浮かび上がった。
特に、骨格の胚発生や細胞運命決定を制御するといわれるSOX5遺伝子の不活性化と腰痛の強い関連が疑われている。実際、過去の研究ではSOX5遺伝子の不活性によって、マウスの軟骨や骨格の形成に異常が見られたことが報告されている。研究者たちは、SOX5遺伝子の変異が、慢性の腰痛を誘発する可能性は高いとしている。
第2の原因は、椎間板ヘルニアに関連する遺伝子である。そして、3つ目が脊椎の発達に関与するDNAであった。
●急性から慢性へと移行する腰痛の原因
シアトル退役軍人病院の研究者プラディープ・スリ教授は、ゲノムワイド関連分析による今回の研究により、慢性的な腰痛の原因には複数の理由があると強調している。とくに、腰痛が急性から慢性へと移行する原因には、中枢神経系の関与が指摘されている。
また、今回特定された遺伝子3つのうち2つは、脊椎の末梢神経との関連がある。つまり、慢性的な腰痛の複雑な原因には、中枢神経と末梢神経いずれの分野からも遺伝子の研究が今後の課題となる。
●成人の80%が腰痛を経験
調査によれば、成人の80%は腰痛の経験があると答えている。またそのうちの50%は、1年に1度は腰痛に苦しむという結果が出た。これらの腰痛の大半は、特に治療をしなくても数週間以内に治癒する。しかし、その一部は慢性の腰痛に移行し長期間にわたって痛みに苦しむことになる。
今回の研究は、腰痛の効果的な治療法の開発に向けて大きな一歩となることが期待されている。
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