家電も「買ってからバージョンアップする」時代に【スマホでサンマが焼ける日】

2018年8月24日 18:39

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記事提供元:biblion

 【第17回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

家電も「買ってからバージョンアップする」時代に【スマホでサンマが焼ける日】

 本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。あわせて前回記事もご覧ください。

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インターネットで繋がる家電

 第2のグーグル的技術によって、家電や身の回りの様々な製品の使い方、使われ方は大きく変わっていくでしょう。

 たとえば今、家電はパソコンと違って買った後にバージョンアップしたりカスタマイズできないので、買うときはどの製品にしようか慎重に検討して買います。買ったあとは、できるだけ搭載された機能を有効に使うだけです。

 しかしこれからはすべての家電がスマートメーターやインターネットと繋がるようになるでしょう。ということは、パソコンソフトやスマートフォンのアプリ同様にバージョンアップが可能になるということです。

 たとえば炊飯器。これからは炊飯器もインターネットと連動していくので、その炊飯器の使われ方=利用データがその炊飯器のメーカーに送信されます。するとメーカー側では「あ、この人は普通にご飯を炊かないで、おかゆばかり作っているな」ということが分かる。

 するとメーカーはインターネット経由でその炊飯器の中にあるソフトウェアのバージョンアップをしてくれて、おかゆばかり作っているユーザーにより使いやすい炊飯器にしてくれる。こうしてその家電がその人にとって使いやすくなっていくのです。
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節電は進化してお金を得られるようになる!?

 ワイヤレス給電が普及すれば、もっと多くのデータがスムーズに集積されていくので、家電だけでなく、様々なモノが自分好みにカスタマイズされていくようになるでしょう。電気自動車では買った後に少しずつバージョンアップしていく、という技術が取り入れられ始めています。

 海外ではすでに自動制御の家電ができています。たとえば、エアコンのタイマー機能は、エアコンの使用者が「明日の〇時から〇時まで電源を切ってください」とセットすることで機能しますが、自動制御の場合は、クーラーの購入時に「こういうときは自動的にクーラーを止めてもいいですよ」という契約をしてしまう。買ったあとは、メーカー側が勝手に契約通りの運転設定をしてくれる、というものです。

 日本でもすでに、会社のオフィスなどで空調設備の運転に関して事前に契約をしておくと、アグリゲーター(ネガワット=需要家の節約によって余剰となった電力、を集める事業者)が勝手に空調を調整してくれて、電気を上手に節電してくれる。それでアグリゲーターが電力会社からもらったネガワットフィー(ネガワット販売の利益)のうちの一部が支払われるといったシステムがあるので、将来的には契約の仕方次第では自動的にお金がもらえる家電、というのも出てくるのではないでしょうか。

 これもすべて電気がデジタル化して利用データが取れるからできることです。無駄がなくなり、コスト削減もでき、プラスお小遣いにもなる、という時代がもうすぐ来るでしょう。

書籍著者:江田 健二さん

書籍著者:江田 健二さん「環境・エネルギーに関する情報を客観的にわかりやすく広くつたえること」「デジタルテクノロジーと環境・エネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること」を目的に執筆/講演活動などを実施。富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社のCRMプロジェクト、大手化学メーカーのSCMプロジェクト等に参画。その後起業、環境・エネルギービジネスの推進や企業のCSR活動を支援している。RAUL株式会社 代表取締役、一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人エコマート運営委員。 元のページを表示 ≫

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