コンビニ各社、電子タグを用いたSCMの実証実験 食品ロス等の課題解決へ

2018年2月4日 07:33

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ICタグを活用したサプライチェーン情報共有システムのイメージ(写真:大日本印刷の発表資料より)

ICタグを活用したサプライチェーン情報共有システムのイメージ(写真:大日本印刷の発表資料より)[写真拡大]

 経産省は2日、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」に基づき、14日から23日の期間、電子タグから取得した情報をSCM(サプライチェーン)で共有する実験を実施すると発表した。同日、大日本印刷、ローソン、ファミリーマート、ミニストップも同様の内容を発表した。

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 コンビニ業界では、大量生産、多頻度配送を通じて高度に効率化されたロジスティクスが実現されている一方、サプライチェーン全体としては食品ロスや返品といった様々な課題を抱える。他方、少子化の影響を受け、人手不足や労務コストの上昇の課題もある。

 この課題に対応すべき方針として、経産省はコンビニ各社と共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を2017年4月に策定。2025年までにコンビニ各社の全ての取扱商品に電子タグを利用することで合意。店舗レジやサプライチェーンでの高効率化を目指す。

●実証実験の内容

 サプライチェーン上流で商品に貼付された電子タグを入出荷時に読み取り、当該データを実験用に構築した情報共有システムへ投入。在庫情報等をサプライチェーンで共有することができるかを検証する。従来は個々の企業の情報だったものを、サプライチェーン内の企業群が共有することがメリットを生む。

 商品の流れはコンビニの物流センター経由とメーカーから店舗直送の2通りだ。物流センター経由の場合は、センター内で商品1つ1つに電子タグの貼付を行う一方、店舗直送の場合は、メーカーで商品1つ1つに電子タグを貼付する。

 どちらの場合も貼付後に、電子タグを読み取り、情報共有システムと連携する。そして、店舗においても、入荷時や販売時に電子タグを読み取り、情報共有システムとの連携が可能かを確認する。

 実証実験は3店舗で実施。「ファミリーマート 経済産業省店」「ローソン 丸の内パークビル店」「ミニストップ 神田錦町3丁目店」だ。

 委託会社は大日本印刷、物流は日立物流が協力する。

 商品のメーカーは、UCC上島珈琲、江崎グリコ、カルビー、東洋水産、P&G、山崎製パン、ライオンが協力する。特に、東洋水産に金属製の缶詰があるか否かは、電子タグ認識の上で重要だ。

 情報共有システムは、ウェルキャット、帝人、東芝テック、デンソーウェーブ、日本パレットレンタル、パナソニック、富士通、日本マイクロソフトが協力する。

●コンビニ電子タグ化(大日本印刷、EPCIS情報共有システム)のテクノロジー

 メーカーやコンビニ、システムベンダーと共同で、電子タグを活用して、メーカーから卸、配送センター等のサプライチェーン全体の商品に関する情報を国際標準であるEPCISに準拠した形で一元管理。この情報をサプライチェーン上の企業が共有。有効性を確認する。

 考えられる有効性には、店舗の効率化や食品ロスの低減に加えて、食品のトレーサビリティによる安全性確保がある。

 加えて、情報共有システムでは、商品偽造防止やリコールの迅速化などが考えられ、EPCISの普及を推進していくという。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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