JAXAとNIES、欧州宇宙機関らと温室効果ガスの観測に関する協定を締結

2017年12月14日 19:27

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いぶきによる全大気平均メタン濃度(表:JAXAの発表資料より)

いぶきによる全大気平均メタン濃度(表:JAXAの発表資料より)[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国立環境研究所(NIES)は、11日に欧州宇宙機関(ESA)及びフランス国立宇宙研究センター(CNES)と、12日にドイツ航空宇宙センター(DLR)と、フランス・パリにおいて、「温室効果ガスのリモートセンシング及び関連ミッションに関する協定」を締結したと発表した。

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 世界で初めて温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を打ち上げた日本と、ESA、CNES及びDLRとの協定は、各宇宙機関の温室効果ガス観測衛星から得られるデータを互いに校正・検証することで、衛星観測データの信頼性を向上させると共に、均一性を図ることを目指す。

 パリ協定の枠組みの下、各締約国は、統計データから算出した自国の温室効果ガス排出量の一覧表を作成し、報告することが義務付けられているが、地球全体を均一に測定できる衛星から得られたデータは、地上観測により得られたデータを補完して、各国が報告する一覧表の正確性を確認する科学的根拠としての役割が期待されているという。

●パリ協定の目標

 パリ協定とは、2015年12月に気候変動枠組条約第21回締約国会議(UNFCCC COP21)で採択され、2016年11月に発効した、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際的な枠組みである。

 長期目標として、「世界的な平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度以内に抑える努力すること」を掲げ、すべての国が5年ごとに削減目標を提出・更新する仕組みなどを規定。世界195カ国が合意した。

 合意から2年、この困難な目標への朗報はEVシフトの流れとダイベストメントであろう。

 欧州発のEVシフトには中国も加わり、自動車産業の脱炭素化への世界的な動きは加速する一方、脱炭素化の本命と思われる燃料電池車も開発の手を緩めてはいない。

 他方、石炭をはじめとする化石燃料産業への投資撤退(ダイベストメント)の動きである。多くの金融機関はオイルサンドやシェールガスなどの最も環境負荷が大きい化石燃料開発への資金提供を制限し始めているという。

●メタン濃度は年々上昇

 メタンは、二酸化炭素に次いで地球温暖化に与える影響の大きい温室効果ガスである。JAXAは6月、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の観測データに基づくメタンの地球大気全体の平均濃度データを公開した。

 月別平均のメタン濃度は晩秋・冬に極大、初夏に極小という季節変動をしながら、観測を開始した2009から年々上昇し、2017年1月には過去最高の約1815 ppb(微量の気体の濃度等を表す単位で1 ppbは、10億分の1の割合)を記録している。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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