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EV増加で減るガソリン税にどう備える
ガソリンスタンドの在り方も変わってきそうだ。[写真拡大]
今年9月24日からドイツ・フランクフルトで開かれたモーターショーの主役は、EV(電気自動車)だった。見てきたように記すと、例えばフォルクスワーゲン(VW)は主力車種である「ゴルフ」のEV版をはじめ多種のEVを前に「2025年までに50種300万台のEVを世界で発売する」と宣言した。そして翌10月には日本でもゴルフ版EVの受注を開始した。
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周知のとおりドイツは「30年」、イギリスやフランスは「40年までにディーゼル車とガソリン車の販売を禁じる」方向を明らかにしている。世界最大の自動車市場である中国は「追随の方針」とされている。EV化の流れは勢いを増すばかりの状況といえる。
日本のEV事情は明らかにされている範囲で、15年3月末の保有台数はPHEV(プラグインハイブリッド車)を含め全保有台数の0.18%水準(約11万台)。現政権はこの比率を「30年までに20-30%に」とする目標を掲げている。
EV化は揮発油税(ガソリンに課せられる国税のひとつ。地方揮発油税と合わせ通常ガソリン税と呼ばれる)の減少を意味する。日本エネルギー経済研究所の試算では「OECD加盟35カ国の15年の自動車用ガソリン・軽油税約42兆円が30年には27%減少、(ガソリン車の新車販売がなくなると想定した場合)50年の税収は15年の2割程度に縮小する」という。日本での揮発油税は15年度で約2兆4600万円。2割に縮小となると約2兆円分がなくなる。
ガソリン業者にとっては、死活問題。ここ数カ月、木村康・石油連盟会長の定例記者会見では「揮発油税」の推移を示す資料が配布され「いかに税収に貢献しているか」が強調されている。
19年10月の消費税増税分は「教育無償化」等に当てる方向が示されている。プライマリーバランスの達成が更に遠のくのに加え、ここに揮発油税減少という重荷か加わってくることを為政者はどう考えているのか。木村会長は「EVもガソリン車と同じ道を走っているので、相応の負担をしてもらう必要がある。ガソリン税がなくなったらどうするのか」と、税負担の「公平性」を訴える。だが、安倍政権からは何らの反応もないのが現状だ。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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