スバル・航空機部門との技術交流(下) ボーイングの下請けによる果実は大きい

2017年11月28日 19:47

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■スバル内での技術交流 自動車から航空機

 自動車部門から航空機部門に対する技術供与に関しては、「ロボットによる生産」に関する技術が考えられるが、自動車に比べ、航空機部門は「手仕事」と言えるほどで車とは量産規模が違う。ロボット自身の技術については共用できるはずだが、それでも生産技術については別次元であるだろう。

【前回は】スバル・航空機部門との技術交流(上) 航空機から自動車へ 航空機と自動車は違う

 自動車は量産の中で品質の確保が主眼となり、コストのとらえ方がまるで違う。航空機は「手作業」に近く、「一品ずつ不良は許されない」。確認検査が厳しく、検査で不良と判明すれば「修正」が基本だ。一方、自動車はいちいち検査が必要なこと自体が間違いであり、「造り方」で不良をなくす努力を前提に造る。つまり、「造り方」が同じならば「不良は出ない」ことが、造り方の基本だ。

 また一番大切なのは、スバルの「組織的な部門間の技術交流のシステムが運用されているのか?」だ。現状、元富士重工のかつての工場長との付き合いなどからの情報も加味すると、とても柔軟な組織的交流システムが存在するとは思えない。むしろ「縦割り行政組織」のような弊害が目立つ。

■ボーイング社の下請けによる果実は大きい

 戦後日本は、国策として国産旅客機YS-11を手掛けたが、営業的には失敗して次期国産旅客機Y-X、Y-XX計画を立案していた。しかし、アメリカからの政治圧力を受けて、ボーイング社のB757、767に吸収されてしまい、事実上それ以来の下請け状態である。その後B777、B787などでも7割は日本で造っていると言われるほどの重要な下請けだ。今後、それが中国に狙われていることを忘れてはならない。

 私と同期の設計技師たちが目の前から消えて、ボーイング社に出向になってから早くも半世紀だ。彼らは多くの技術を吸収したはずだが、日本で活躍するチャンスもなく人生を送った。今ようやく国産旅客機MRJの開発が始まっているが、苦戦している。

 ボーイング社は、旅客機開発予算を日本政府が一部負担してくれることを取り込んで、開発リスクを回避してきた。それをこれからは中国政府が肩代わりしていくのだろう。そして、中国政府は日本の製造技術も取り込んで、国産機の能力を上げて、新幹線技術と同様に産業として取り込む狙いだ。

 日本がボーイングの下請けとして取り組んできた技術は、今後にも大いに役立つのであり、政府の施策がカギとなる時期だ。航空機部門の技術は、スバル(自動車)の開発生産技術とのかかわりは少ないけれど、「スバルファン」に対する「ブランドイメージ宣伝効果」は大きいと考えられる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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