シャープの社名の誕生秘話

2017年11月27日 05:20

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 シャープは22日、天井に設置するLEDシーリングライトと一体化させた空気清浄機を発表した。業界初であり、来年1月20日に発売するという。

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 このニュースに接した折り、こう考えた。台湾の鴻海傘下入り(子会社化)したシャープが生き返ったことは収益数字面で確認ができる。がこうした「業界初」云々という商品を世の中に送り出せるようになった点こそ「シャープ復活」を強く印象付けるに違いない、とである。

 と同時に二人の人物の顔を思い浮かべた。一人はシャープの創業者であり初代社長の故早川徳次氏(顔を目の当たりにしたことはない。写真で知るのみ)、そして二代目社長の故佐伯旭氏である。

 早川氏が開発した世界初のシャープペンシルは、広く世界に知られていた。だが早川氏の元で初の「回転式電子レンジ」が開発されるなど、国内の家電業界でも着々と存在感を広めていた。「家電分野でも世界に打って出よう」となったのは、1960年代半ばのことだった。

 その役を担ったのが、当時の常務だった佐伯氏である。何度となく、欧米を訪れ売り込みを図ったが、遅々として進まなかった。訪米・訪欧を重ねるうちに佐伯氏の頭の中には「社名をシャープに変えるべきだ」という思いが日増しに強まっていた。というのも欧米の電機関連業界・企業にも、シャープペンシルの存在は知れ渡っていた。だが名刺を差し出すと決まって、「What is HAYAKAWA」という答えが返ってきた。その顔には「なんでシャープペンシルの会社が家電を売り込みに来たのか」と書いてあった。

 1960年代も終盤、帰国する機中で佐伯氏は意を決した。「ブランドとして認知されているシャープを社名にした方が、逆に仕事もやりやすい」。しかし当時の社名「早川電機」は創業者の名前からつけたもの。「果たして社長は納得するだろうか」という懸念も強かった。

 帰国後、報告も兼ねて早川氏の前に出た際に佐伯氏は恐る恐る自身の考えを切り出した。怒鳴られることを覚悟の上でのことだった。が返ってきた答えはこうだった。「そうだな、君の言う通りかもしれないな」。70年1月1日、早川電機はシャープに社名変更した。

 いまは「シャープの社名よ、永遠に」を望むばかりである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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