「串カツ田中」株価好調、一時上場来高値更新 外国人観光客にも人気か

2017年11月17日 21:40

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(画像: 串カツ田中の発表資料より)

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 串カツ田中の株価が16日の東京株式市場で、一時は前日比2450円(21%)高の1万4290円まで上昇し、上場来高値をつけた。主力事業の串カツ店が好調で、年間配当も実質増配となったことから買いを集めた。16年9月に東証マザーズに上場以来、株価が好調に推移している。

 串カツ田中は、大阪の伝統食である串カツの魅力を世界に発信することを目標に02年創業された。08年に世田谷1号店をオープンさせると関東圏を中心に順調に拡大し、11年よりフランチャイズ化に乗り出した。

 店舗は1本100円~120円の串カツを中心に価格を低く抑え、ファミリー層でも気軽に入れる料理人に頼らない運営を志向している。副社長の田中洋江氏が父親から受け継いだ秘伝のレシピを社外秘として差別化を図り、ソースや揚げ油などは独自材料を用いているという。

 小さな商圏に立地し、路面1階に店舗を構えて、店外からでも店内の雰囲気を一目で分かるように店舗設計されているのも特徴的である。間口を広く気軽に入りやすい雰囲気にすることで、ファミリーに親和性の高い店づくりをしているわけだ。

 大阪伝統の味を由来にしているため、当然「ソースの二度づけは禁止」である。大衆的な雰囲気と手軽な価格により、串カツに馴染みのない関東圏で順調に支持を集めてきた。

 こうした大阪のローカル色を特徴づける「ソースの二度づけ禁止」の串カツは、インバウンド需要を支える外国人観光客にも人気になっている。既に海外のガイドブックでは「二度づけ禁止」が説明されているため、外国人観光客の多くは、文化として理解したうえで堪能しているという。視覚的なインパクトも強いことからSNSによる拡散力の恩恵も受けている。

 長期目標としては1000店舗体制を目指し、今後は関東を中心に近畿、中部、九州に出店を加速していくとしている。懸念すべき点としては客単価の低迷が続いていることである。これについて社長の貫氏は、客単価を抑えて競争力を出すことで客数を増やしていくとしている。

 新たな市場開拓にも乗り出し、居酒屋としては珍しくロードサイドへの店舗運営を実施。その他、デパ地下でのテイクアウトやソース販売などの取り組みも検討されているという。海外ではハワイのホノルルに店舗を出店済み、世界展開も視野に入れている同社の動きには今後も注目をしてきたい。

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