AI自動運転の誤動作を防げるのか?信頼性は加工現場の「考える人間」が作り上げる

2017年10月31日 21:19

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 最近、日産自動車、スバル、神戸製鋼などの品質軽視の動きで、社外取締役の関与などを推奨する発言があるなど、問題の理解が進んでいないことに懸念がある。コーポレートガバナンスなどの問題で、品質を良くするためには、組織としての強制を強めると良いなどの間違った概念が、専門家から推奨されている。しかし、専門家と言われる人々は、金融の専門家などで、品質管理の専門家ではない。

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 金融知識だけで、組織の在り方や運営に素人であることを知らない経営者が増えている。これこそが品質を損ねる組織運用を生み出す元だ。品質管理には「まじめに、丁寧に他人の立場を理解できる心」を育てねばならず、金融の専門家には苦手な部分だ。

■品質は現場で作り込むもの

 この一言「品質は現場で作り込む」を理解していれば、取締役が現場を知らなくても良いなどとは考えられないのである。どのようにマニュアルを作り込もうとも、ガバナンスを強く引き締めても「品質」は「作業者の日常の心」であるので、コーポレートガバナンスは、一人一人の心のありようで決まるのだ。

 現場で作業する人々が、どのような心のありようであるのかで「品質」は決まる。その「心の有りよう」を決めるのが組織運用で、管理者は常に社員の心の有りようをどのように持っていくのかを意識できなければならない。

 「真面目で親切に他人の立場を」理解できる心の有りようを模索出来ていなければならない。それを作り出す努力が管理技術となっていなければならないのだが、「サービス残業」を強要する意識では作業者の心持を理解できていないと言える。

 「品質」は現場の作業者の心の有りようを定めるのが先決で、少しでも「ずるけよう」「ごまかさそう」と考えた途端に不良は出る。日産自動車の新車検査は「形骸化」していただけに、組織の有りようが根本的に間違っている表れなのである。これを引き戻すのは至難の業で長い時間を要する仕事になる。コツコツとした段取りを整える作業が続く。

■アメリカの投資感覚経営ではAIは間違いを起こす

 現代では取締役は「投資家」の立場に寄り添う姿が普通になり、自らのビジネスモデルを意識できなくなっている経営者が多くいる。

 大塚家具のお家騒動に勝った久美子社長は、自らのビジネスモデルを見失っている。市場の在り方を調べていなかったのであろう。名簿を捨て一般的販売方法を取って敗れ去った。父の「匠大塚」の存在も大きかったであろう。これまで成功してきたビジネスモデルを踏まえて、新ビジネスモデルを構築すべきであった。いまは中古家具屋の様相である。

 取締役と執行役員とを分けて、取締役は投資感覚でおり、現場を見るのは執行役員との分断はいただけない。現場を常に取締役が見ていられなければならないし、組織も自社のビジネスモデルを前提にしていなければ話にならない。アメリカ式投資家の立場の経営者では、品質を保てないと言うことだ。

■AI自動運転の信頼性は加工現場の「考える人間」が作り上げる

 ご覧のように「品質」は「現場が作るもの」であり、経営者はそれをマネージメントできなければ崩れ去る。当たり前のことだが「作業者の心の持ちよう」で作業質は決まる。「心の持ちよう」をプロデュース出来なければ「品質は保証できない」ことを認識しなければならない。

 皮肉なことだがAI自動運転の信頼性は「考える人間」が作り上げる。これまでのプログラム開発の意識では「間違い」がフォローされていない。これでは客が困るだけだ。製造業が長年積み上げてきた「フェイルセーフ」を取り込むことだ。車は動いているのだ。「ハングアップしてもリセットすればよい」は通用しない。

■営業現場で素人が推奨されている

 営業現場の素人ぶりは激しいもので営業マンが車を知らない。技術的質問をすると「クレーマー」扱いされる。自動車製造会社本体の「お客様窓口」でも素人であり技術的質問には答えられない。「何もわからず買え」と言うことか?「クレーマー」扱いされるので質問できない。これでは、販売後の「間違い」を発見するのも難しいであろう。新車検査の形骸化は、このような意識のもとに行われているのであろう。「もうあきらめた」と言いたい。

 会社経営は「投資」ではない。経営者は「商売を忘れるな!」である。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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