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近接無線技術に再挑戦、ソニーの新技術とは
近接無線技術として開発されたTransferJet。今後は鉄道の改札機に応用され、ICカードをかざすことなく通過することができる時代が来るかもしれない。そのための課題も少なくないが、新技術導入の動向を見守りたいところである。[写真拡大]
鉄道を利用する際に通過する改札では、現在ICカードでの利用が一般的である。中には切符を買うケースもあるが、定期券の場合は磁気定期券よりもICカードが圧倒的多数ではないだろうか。そんな改札の通過において、新たな技術が注目されている。ソニー<6758>が開発した「TransferJet」である。もともとTransferJetそのものは2008年にソニーが発表した無線通信規格だが、それを今回改札に応用しようということだ。
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ソニーはJR東日本<9020>とともにこのTransferJetを応用した改札機を試作した。 TransferJetは一定のエリア内でのデータ通信ができる規格であり、この技術を応用した改札機では、改札機周辺のエリアに入っただけでデータを認識できる。つまり、ICカードをかざすことなく改札を通過することができるという仕組みだ。もちろんICカードにかわる専用の端末を保持する必要はあるものの、敢えて機械にかざさなくても通過が可能となる。
もともとTransferJetは無線通信のための規格として開発されたものであり、改札機を改良することを目的としたものではない。この規格の最大の特徴は、通信距離が限定されること、そして機器間での設定が不要であることが挙げられる。しかし、スマホの登場とWi-Fiという規格を乗り越えることはできず、ソニーも一度は見切りをつけたという経緯がある。
しかし、通信距離が限定されること、機器間の設定が不要という点は、まさに改札機での利用においては「うってつけ」ともいえる。鉄道の改札を抜ける人にとってのニーズは、「できるだけスムーズに」ということにある。ICカードの普及により、従来よりも遥かにスムーズに改札を通ることができるようになったが、TransferJetの応用が実用化されればさらにスピーディーに通過できるようになるかもしれない。
とはいえ、改札機に応用するには既存技術との競合を避けては通れない。また、認識できなかった場合の原因をどのように調べ解決するか、という課題も残る。多くの人が利用する鉄道だけに、中途半端な技術やサービスでは鉄道各社も採用をすることはないだろう。ソニー<6758>は、新技術の研究開発とともに、鉄道利用者にとってどういった方式が最適なのかという点についてもぜひ考えていただきたいところである。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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