電動パワーステアリング世界市場、25年には8410万台に 中国を中心に拡大

2017年10月14日 11:49

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 矢野経済研究所は13日、電動パワーステアリングシステム(以下、EPS)の世界市場に関する調査結果を発表した。

【市場は大きく拡大】15年の電動パワステ世界市場規模は4,700万台 電動油圧パワステは400万

 EPSの16年世界市場規模は5,000万台、EHPS(電動油圧パワーステアリング)は370万台で、合計5,370万台の見込み。20年には合計で6,940万台、25年には8,410万台に拡大すると予測している。

 パワーステアリングとは、車両のハンドル操作に必要な力を軽減する装置。ほぼ全ての乗用車に搭載されている。元来はステアリングギアに油圧をかける「油圧式」が主流だったが、比較的新しい技術であるEPSは操舵のアシストに電動モーターを利用したことで低燃費が実現し、急速に普及している。EHPSとは油圧式と電動式のハイブリッドである。

 世界各国で燃費規制の厳格化が進んでいることから、EPSは低コストで一定の燃費改善が図れる技術として、これまで搭載率か低かった地域においても拡大傾向にあるという。

 とりわけ中国では環境汚染による燃費規制の強化や、自動車生産台数の伸長が期待されることから搭載が加速すると予測されている。一方で、日本は自動車生産台数の低減から需要数量は頭打ちになると予測。EPSとEHPSの地域別需要構成比では、日本は16年の13.9%から20年に10.8%と低下、中国は16年の19.6%から20年には22.7%まで拡大すると予測している。

 EPSは日本で生まれた世界技術。パイオニアとしてジェイテクトが1988年に世界で初めて開発し、現在もトップシェアを獲得している。市場に出回るEPSの全ての形式をカバーしている数少ないメーカーの1つでもある。6月にはモロッコにEPSの生産工場を設立することを発表、世界での需要拡大が見込まれることから中東向けなど新規開拓を狙っているという。

 現在、自動車業界は自動運転技術や電気自動車の到来により、大きな変化の波が押し寄せている。自動運転の技術競争はアクセルやハンドル、ブレーキといった複数の機能を車が担う「準自動運転」に移行しつつあり、その先には完全に人間の操作が必要とされない「完全自動運転」がやってくるという。

 当然、ハンドルが不要となる車も予見されていることから、遠い未来はステアリングシステムそのものの存在意義を問う向きもある。とはいえ、当面はエンジン車とハイブリット車のハンドルが付いた車両が主流であることから、EPSが、世界の車両のハンドル操作を担っていくとされている。

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