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ビッグバン直後における超大質量ブラックホール誕生の謎が解明される
シミュレーションより得られたブラックホール形成時のダークマター分布(背景)とガス分布(内側下3パネル)。(画像:東京大学発表資料より)[写真拡大]
太陽の数十億倍といったスケールを持つ超大質量ブラックホールが、宇宙が生まれてまだわずか数億年の頃に誕生していたのは何故か、という天文学上の大きな謎に、答えが示された。その秘密は、ビッグバン直後の「超音速ガス流」にあったという。
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超大質量ブラックホール(モンスターブラックホールともいう)の発生について、これまでにもいくつかの学説が提示されてはいる。例えば、宇宙で最初に生まれた星々、ファーストスターが一生の最後に遺すブラックホールが成長してできる、というもの。
または、宇宙初期、巨大ガス雲が一気に収縮して形成される、とする説。しかし、いずれの説も、モンスターブラックホールほどの巨大な質量体が宇宙誕生からわずか数億年で形成される理由を自然に説明することはできず、いくつかの物理機構の仮定に立脚しなければならなかった。
今回、東京大学や京都大学を中心とする共同研究グループは、ビッグバン後に残された超音速ガス流に着目した。宇宙の始まりにおいて残されたガス流の重力は、ダークマターを集積させ、宇宙誕生から1億年ほどののち、ダークマターからなる高密度領域、「ダークハロー」を作り出す。これは太陽の2,000万倍ほどの質量を持つ。
このダークハローは強い重力によって高速のガス流を捕捉し、高温高密度のガス雲の乱流を生み出す。そして乱流ガス雲から原始星が誕生し、急速な成長を始める。原始星はガスを吸い込み、やがて巨大なブラックホールへと変貌していく。さらに、ガス降着やブラックホール同士の合体を経て、超大質量ブラックホールへと成長する。
以上の仮説は、スーパーコンピュータによる数理的推論により裏付けられている。用いられたのは国立天文台天文シミュレーションプロジェクトのスーパーコンピュータCray XC30、通称「アテルイ」である。天文学専用のスーパーコンピュータとしては世界最速の性能を誇り、理論天文学の分野で活躍している。
なお、研究の詳細は、Scienceのオンライン版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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