10年先の長期ビジョンを打ち出した吉野家ホールディングス

2017年4月27日 11:10

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記事提供元:エコノミックニュース

 吉野家や京樽などを運営する吉野家ホールディングス<9861>は2017年2月期の決算を発表した。

 全体の売上高は前年比101.6パーセントの約1886億円となり、吉野家単体では通期で約971.8億円を売り上げ、対前年同期比1.8パーセントの増収となった。ただし計画対比においては下回っているため、商品投入サイクルの短縮や新店舗モデルの創造を軸とした増収増益の戦略を打ち出している。

 その第一弾となるのが「菅田(将暉)スペシャル」だ。17年4月28日午前10時から5月7日午後10時までの期間限定で全国の吉野家で販売される。主演の「共食い」で第37回日本アカデミー賞新人賞を受賞した菅田将暉氏はかねてより吉野家のファンであったことからコラボが実現、「菅田(将暉)スペシャル」は菅田氏のお気に入りの食べ方である牛丼にねぎ玉子とキムチを乗せていることが大きな特徴。

 期間中は菅田氏の等身大POPが店頭で掲出されるほか、吉野家公式ホームページではスペシャルムービーを放映、吉野家LINE公式アカウントでも「友だち限定」のオリジナルムービーを公開して「菅田(将暉)スペシャル」の販売促進を行う。

 16年通期売上高の月別では復活豚丼キャンペーンを行った4月、ソフトバンクとコラボしたSUPER FRIDAYの10月が突出している。期間限定で話題性のある商品の販売が集客につながっていることは商品投入サイクルを短縮させる要因のひとつとなっている。

 増収増益の戦略は吉野家に留まらず吉野家ホールディングス全体に適用される10年先まで考えた長期ビジョンで「NEW BEGINNINGS 2025」と呼ばれる。ひと・健康・テクノロジーを3つのキーワードとし、従業員の労働環境整備には動画を利用した教育評価システムを取り入れ、長期的にはロボット技術の導入による作業負荷の軽減なども盛り込まれている。

 外食産業の市場はやや増加傾向を示しているが激戦区であることに変わりない。吉野家ホールディングスの店舗が長期ビジョンによってどのように変わっていくのか注目されている。(編集担当:久保田雄城)

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