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ドル・円為替、4月1日の動きとポイントは
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年度末の3月31日が過ぎ、今日から新年度が始まる。ドル円は1ドル112円を突破したタイミングがあったものの、最終的には1ドル111円35銭でニューヨーク市場はクローズした。年度末ということもあり利益確定のためにドル売りが盛んだったこともあるが、実はそれ以外にもドルが売られる出来事があったためだ。
(すべて日本時間)3月31日18:30には1ドル112円1銭と112円台に乗せている状態であった。利益確定のためのドル売りの流れもあり、やや下げていくのだが、22:00ごろにダドリー・ニューヨーク連銀総裁が「金融政策引き締めの緊急性はないだろう」とのコメントを発表し、市場が揺れた。ドルは1ドル111円55銭まで下げることになる。2:45に3月シカゴ購買部協会景気指数が予想よりも良い数値で発表されるとドルは1ドル111円77銭まで戻した。それが一転また大きく値を下げることになるのが23:45ごろのカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のコメントだ。「利上げを急ぐ理由はない」と発表し、市場の期待感を大きく削ぐことになった。1ドル111円40銭までドルが売られていく。
経済指標が予想以上であったのにもかかわらずドル売りの流れは強かった理由はもう一つある。要注意人物のトランプ大統領だ。彼が公正な貿易を目指していくという大統領令に署名したのだ。対米で貿易黒字を積み上げている中国、日本への対抗処置である。
市場がアメリカに期待しているのは「利上げのペース加速」「減税政策への移行」なのだが、どうも雲行きが怪しい。FRBや連銀総裁のコメントを集約すると、年4回の利上げの意見は少数派になりつつある。トランプ大統領は税制改革を棚上げし、来週の中国国家主席との会談に向けて準備をしている状態だ。税制改革そっちのけで、アメリカが有利に働くためだけの保護主義的な貿易改革を貫くと、市場にはさらに動揺が走るだろう。
来週末には米中首脳会談の他に、3月雇用統計の指数も発表される。FRBはFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録を公表する。これで利上げペースが加速されることになるのかについての大きな材料が示されることになる。あとはトランプ大統領の言動次第といった4月になっていくのだろう。ここだけは依然として不透明な状態だ。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る)
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