【2016年振り返り】LCC2社黒字達成 新規路線も次々開設

2016年12月30日 21:26

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記事提供元:エコノミックニュース

LCCは好調に利益も伸ばし、積極的に機材調達や路線拡大を行なっている。更に他社と業務提携し、顧客の利便性を向上させる取り組みも行なっており、ますますLCCの普及が進むと考えられる。

LCCは好調に利益も伸ばし、積極的に機材調達や路線拡大を行なっている。更に他社と業務提携し、顧客の利便性を向上させる取り組みも行なっており、ますますLCCの普及が進むと考えられる。[写真拡大]

 従来の日本航空<9201>や全日空<9202>といった大手航空会社を、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長したLCC。今年もますますその勢いは衰えなかった。

 LCCの国内線旅客シェア53%を誇るジェットスター・ジャパンは今年の6月期決算(2015年7月1日~16年6月30日)で13億円の営業利益を達成したこと発表。就航を開始した2012年7月以来初の黒字となり、15年6月期の79億円の営業損失から92億円の改善を果たした。累積搭乗人数も国内LCCとしては初めて1500万人を突破した。一方ピーチ・アビエーションも3月期決算で営業利益は前期比29%増で61億円、純利益は前期比2.2倍の27億円となり、累計損失を一掃し、3年連続で増収増益を達成している。

 平均搭乗率も日本航空<9201>や全日空<9202>と比較すると高い水準を保っている。日本航空は71.6%、全日空が74.3%であったのに対し、ジェットスターは83%、ピーチ・アビエーションは86.7%と、およそ10%もの開きが出ている。

 この背景にはやはり今年も積極的な機材投資と路線の拡大が挙げられる。ジェットスターは就航当初3機の機材で3都市2路線を運行していたが、16年6月現在では20機の機材で国内外14都市・24路線と大幅に拡大している ピーチ・アビエーションでは就航当時2機材で3都市2路線を運行していたが、現在では17機の機材で19都市26路線を運行している。

 そして両社とも今年に入って国際線を強化。ジェットスターは3月から4月にかけて東京、名古屋、大阪からマニラを結ぶ便を新規就航。更に17年1月23日には東京-上海線も就航予定だ。ピーチ・アビエーションも2月に東京-ソウル線を開設、大阪-ソウル線、沖縄-台湾線を増便。11月には東京-上海線と大阪-上海線を新しく就航させた。開業当初は国内線の運行が中心であったが、需要のある韓国・中国・台湾線を中心に徐々に国際線でも大手の牙城を崩しつつある。

 また拠点も広げつつあり、更なる路線ネットワークの強化を図っている。ピーチ・アビエーションは3月30日に沖縄に拠点を置くことを発表。沖縄路線を強化するために客室乗務員の採用強化も図っている。更に10月20日に新千歳空港を拠点化することを発表。国内線や近距離国際線、更に道内路線の新規開設を目指す。

 路線の強化だけではなく、他社と提携を行ない、旅客サービスの向上に向けた新しいビジネスを構築も行なっている。ジェットスターは4月に国内の格安高速バスツアーを運行しているWILLER TRAVELと提携。航空便がもつ高速性と高速バスが持つ網羅性という特色を組み合わせ、顧客に「安く、早く、便利な」交通インフラを提供している。

 ピーチ・アビエーションは8月にITシステムコンサルティングを行うJSOLと提携。国内で初めて人工知能を活用した自動音声の実証実験を開始した。これまで同社ではコールセンターを平日9時から18時まで設置していたが、時間も限られる上、ダイヤの乱れや欠航が発生した際には問い合わせが集中し、電話が繋がりにくくなるという問題が生じていた。そこで人工知能による自動音声対応を活用し、24時間365日コールセンター機能を設置することによって顧客満足度を向上させる狙いだ。こうした新たな取り組みも利用顧客の拡大に繋がっていると考えられる。

 一方、海外のLCCも続々と日本に進出している。マレーシアのエアアジアは16年4月に中部国際空港内にエアアジア・ジャパンの本社オフィスを開設。2017年初頭に名古屋-札幌線の運航開始を目指している。上海に本拠地を置く春秋航空は今年、成田から札幌、重慶、武漢、重慶を結ぶ路線を新規開設。チェジュ航空も12月に成田-釜山路線の運航を開始した。国内路線だけでなく、外資系も日本線強化を図っている。

 今や日本のLCCシェアは10%となった。各社とも今後機材導入や路線拡大を計画しており、1月には関西国際空港にLCCターミナルもオープンする。来年もLCCが拡大を続けていくことは間違いなさそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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