オートバイやボートだけじゃない? ヤマハ発動機の知られざる事業とは?

2016年6月11日 19:54

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記事提供元:エコノミックニュース

ヤマハ発動機新居工場で、製造中の幼稚園・保育園向けプール。公共施設や小中学校向けのスクールプールをはじめ、レジャー施設や幼稚園・保育園、スポーツ施設などに向けて、これまでに約38,000基の納入実績がある。

ヤマハ発動機新居工場で、製造中の幼稚園・保育園向けプール。公共施設や小中学校向けのスクールプールをはじめ、レジャー施設や幼稚園・保育園、スポーツ施設などに向けて、これまでに約38,000基の納入実績がある。[写真拡大]

 ヤマハ発動機<7272>というと何をイメージするだろうか。楽器を思い浮かべた人は残念ながら間違い。それは世界最大の総合楽器メーカーのヤマハ<7951>です。そのヤマハの二輪製造部門が1955年に独立して設立された会社がヤマハ発動機である。

 飛行機プロペラなどの軍需生産のための製造設備の平和利用を目的とし、日本楽器製造(現ヤマハ)社内でのオートバイ生産を開始、1955年7月1日に日本楽器製造から分離されるかたちで、オートバイ製造販売業としてスタートした。

 この関係でヤマハと同様の「YAMAHA」ロゴや、円の中に音叉が3つ組み合わさったマークを使っているが、どちらも細部に違いがある。

 ちょっとトリビア的になるが、分かりやすいのは「YAMAHA」ロゴの”M”の字で、真ん中の谷の部分がベースラインまで完全に下がっているのがヤマハ発動機、下げ切らず浮いているのがヤマハ(楽器)である。微妙な違いとしては、各文字のアルファベットの形が完全に左右対称なのがヤマハ発動機、ごく微妙に左右非対称なのがヤマハである。音叉マークは、持ち手が円に被り、マーク全体に立体感が付けられたのがヤマハ発動機、音叉の持ち手が周りの円より内側に入っているのがヤマハである。これによって、どちらが参入している分野か知らなくても、どちらの製品かを見分けることが可能である。

 ヤマハ発動機は、前述したようにオートバイメーカーとしても最も有名だが、それ以外にも、ボート、船外機、漁船、ヨット、マリンジェットなどのマリン製品、スノーモビル、四輪バギーなどのレジャービークル、電動アシスト自転車、電動スクーターなどのEVを製造している。まあ、ラインアップとしては、違和感のないものばかりだ。

 しかし、プールと聞くと驚く人が多いのではないだろうか。そう、泳ぐ「プール」である。ヤマハ発動機は、プールを初めて興行製品としてFRP製の学校向けプールを今から38年前の1978年に販売を開始し、今月1日に、累計6000基目の納入を達成しているのだ。

 プールの素材は、1985年当時のFRPの占める割合は36%に過ぎなかったのだが、その30年後にあたる2015年には、なんと半数以上の54%がFRPとなっている。因みにそれ以外の素材は、コンクリート、ステンレス、アルミ等だ。

 現在素材別では、このようにFRPが1位であり、そのFRPの内、実に92%がヤマハ発動機製である。つまりヤマハ発動機はリーディングカンパニーなのである。

 FRPには、軽くて強い、水に強い、粘り強いという特性がある。このFRPをヤマハ発動機は、元々ボート開発・製造で使用しており、その強みをプールでも活かせると考えたのである。

 もちろん、FRP製は学校向けに特化したものではない。リゾート施設、幼稚園・保育園、フィットネスクラブ、健康増進施設、市町村ウォーターパークと様々な場所で展開している。プールが気持ちのいい季節。あなたの通うフィットネスクラブのプールが、FRPかどうかを確認してみるのも楽しいだろう。(編集担当:久保田雄城)

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