生活に必須となったリチウムイオン電池の今とこれから

2015年2月22日 14:00

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記事提供元:エコノミックニュース

今年も堅調な蓄電池市場。ロームグループのラピスセミコンダクタは2月17日、業界最大となる16セル対応のリチウムイオン電池監視LSI「ML5239」を発表。とくに大容量蓄電池での活用と世界的な普及に期待がかかる。

今年も堅調な蓄電池市場。ロームグループのラピスセミコンダクタは2月17日、業界最大となる16セル対応のリチウムイオン電池監視LSI「ML5239」を発表。とくに大容量蓄電池での活用と世界的な普及に期待がかかる。[写真拡大]

 ロームグループ<6963>のラピスセミコンダクタは2015年2月17日、蓄電システムなどのリチウムイオン電池監視システムを小型化する16セル対応のリチウムイオン電池監視LSI「ML5239」の開発を発表し、サンプル出荷を開始した。

 同社によると、「ML5239」の16直列セル接続は業界最大となるもので、80Vという業界最高クラスの耐圧で、より高電圧のシステムを容易に構築することができるという。また本LSIを用いることで、産業機器市場向けに需要が高まる多セルシステムの大幅な簡略化が実現するため、市場で著しい成長を見せている家庭用蓄電システムや無停電電源装置(UPS)などの大容量機器をメインターゲットに見据えることが可能だ。蓄電池市場でのさらなる発展と飛躍に期待がかかる。

 経済産業省の蓄電池戦略プロジェクトチームによると、2020年の世界の電池市場は20兆円規模にまで達すると見込まれており、政府もその市場の5割のシェアを日本企業で獲得することを目標において、蓄電池産業の後押しを積極的に行っている。蓄電池産業はこれからの日本経済を支える重要産業の一つであるのは間違いないだろう。

 中でも、エネルギー密度が高く、電池パックの小型軽量化に最適なリチウムイオン電池は、携帯電話やスマートフォン、ノートパソコンなどのモバイル電子機器をはじめ、次世代自動車などの車載用電池に使用されている。最近ではスマートハウスやHEMSの普及にともなって、家庭用蓄電システムや無停電電源装置(UPS)などへの展開も進み、着実に需要が伸びている。

 しかし、リチウムイオン電池には大きなデメリットも存在する。それは、常にセル電圧を監視していないと「過充電」や「過放電」が発生してしまう可能性があるということだ。過充電が発生した場合、電池が発熱し、機器本体の故障や、最悪の場合は発火、爆発する危険性がある。また、過放電が発生した場合、電池寿命が短くなったり、放電電圧が低下することで電池容量の低下を招く。そこで、これらのデメリットを解消し、安全性を維持するために、蓄電池内の各電池セルは、BMU(Battery Management Unit)による保護と制御が必ず行われている。今回、ラピスセミコンダクタが開発した「ML5239」のような電池監視LSIは、BMU内の重要部品となるわけだ。

 蓄電池は今、日本メーカーだけでなく、中国や韓国のメーカー、米国などのベンチャー企業がこぞって研究開発を進めているエネルギーマネジメントの基幹商品だ。蓄電池メーカーだけでなく、原材料の開発や輸入、部品・部材、関連サービス事業など、関連産業も幅広く、普及が進めば大きな経済効果が見込めることから、今後のシェア争いの激化が予想されている。そんな中、日本は、次世代自動車用途や系統用の大型蓄電池はもちろん、将来的に大幅な成長が見込まれている定置用蓄電池の分野で他国より一歩リードしているといわれており、期待が高まる。日本の技術力を持ってすれば、政府が目標としている5割のシェアを上回ることも可能かもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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