関連記事
スズキ、年の瀬も押し迫った12月22日に、主力車「アルト」を5年ぶりに刷新
新型アルト。ボディサイズは全長×全幅×全高3395×1475×1475mm、ホイールベース2460mm。全高を従来モデル比45mm下げ、フロントからリアまでスムーズなルーフラインを実現。ショルダーラインを強調しプロポーションに力強さを加味した[写真拡大]
歴代スズキ・アルトは、機能性を重視したシンプルなスタイリングや低価格、実用性の高さなどが特徴。歴代ハッチバック形式を採用したベーシックな軽乗用車で、1979年の誕生以来、日本国内での販売累計は483万台(2014年10月末現在)に達する。新型は8代目となるモデルだ。ダイハツに奪われた「軽自動車ナンバーワン・メーカー」の座を奪還した今、それを堅持するための重要な車種となる。
アルトは1979年に初代モデルが登場。当時、49万円という破格の安さをアピールし大ヒット作となった。このアルトの成功が、スズキを軽自動車ナンバーワン・メーカー」に引き上げた。いみじくも、この8代目の発表に際して同社の鈴木修社長兼会長が、「(アルトは)だんだん豪華になってきたが、(初代の)原点に戻り、庶民感覚と機能性を重視したクルマ作りをめざした」と述べた。
“軽セダンの新たな挑戦”をコンセプトに開発した新型アルトは、ボディモノコック構造の設計を一新。結果として、高剛性・軽量化は、優れた燃費性能や軽快でしっかりした走り、快適で使いやすいパッケージングの実現につながったという。
この新開発のプラットフォームは、骨格の各部を屈折のない滑らかな形状とすることで、車体にかかる力を分散。補強部品を減らし、鋼板厚を薄くすることで軽量化を実現。同時に曲げ剛性、ねじり剛性を約30%向上させている。また、ボディパネルの約46%(従来モデル比+6%)に高張力鋼板を、約16%(同+11%)に超高張力鋼板を採用した。フロントフェンダーやロワクロスメンバーを樹脂化するなどして、最大で60kgの軽量化を実現した(新型アルトのCVT車と従来モデルの「アルト・エコ」との比較)という。
エクステリアは、従来車と一線を画す直線的なスタイリングとなった。これもある意味で初代への回帰といえる。直線基調でグリルレスのフロントマスクなどを組み合わせ、クルマ全体のプロポーションを重視してデザインしたという。ボディサイズは全長×全幅×全高3395×1475×1475mm(X:1500mm)、ホイールベース2460mm。全高を従来モデル比45mm下げ、フロントからリアまでスムーズなルーフラインを実現。ショルダーラインを強調しプロポーションに力強さを加味した。ボディカラーは全8色。上級グレードのXにはテールゲートをグレーで塗装した「2トーンバックドア」を設定した。
一方インテリアについては、シンプルでクリーンなデザインと機能性を重視。感覚的な広さを表現した横基調の白いインパネを採用。ライトブルーの表皮にホワイトのパイピングを組み合わせたシートや、メッキ加飾を施したエアコンルーバー(X)を採用するなど、質感の高さも考慮した。
R06A型660cc直列3気筒エンジンの吸排気系を新設計とし、エキゾーストマニホールド一体型シリンダーヘッドの採用や触媒ケースの簡素化などにより、軽量化と小型化を実現。圧縮比を11.2から11.5に高めたうえで吸気ポートとピストン上面の形状を見直して、燃焼効率を改善した。一部低グレード車を除くモデルに、排出ガスの一部を燃焼室に流入させるEGRシステムを採用。異常燃焼を抑制し、ポンピングロスを低減した。
組み合わせるトランスミッションは全3種類。VPとFには5速マニュアル(MT)と5速AGS(オートギアシフト)を、その他のグレードには副変速機付きCVTを設定した。このうちのAGSとは、MTにクラッチおよびシフト操作を自動で行なう電動油圧方式アクチュエーターを組み合わせたシステムで、既存の4速トルコン式ATに代わるトランスミッションとして設定した。日本国内では軽トラックの「キャリイ」に続く2例目となる。またCVTについては、車体の軽量化に伴って変速比を最適化し、燃費性能と加速性能を向上させている。この新技術の結集で、新型アルトはC08モードで24.0~37.0km/リッターという燃費性能を実現した。37.0km/リッターは、トヨタ・アクアに並ぶガソリン車トップとなる燃費だ。
新しいプラットフォームはパッケージングの高効率化にも貢献。従来モデルより145mm長い室内長と、85mm広い前後乗員間距離を確保。前席の左右乗員間距離も30mm広くなった。同時に、自然なドライビングポジションが得られるように、調整幅35mmのチルトステアリング(X)や、調整幅60mmのシートリフター(S/X)を新採用。フロントドアに2段階のノッチを設け、乗降性を改善しているという。
安全装備をみると、スズキの軽自動車に“ようやく”乗用モデルの全車に「ESP(エレクトリック・スタビリティ・プログラム・横滑り防止装置)」を搭載するなど大幅に進化。予防安全装備として、レーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)と誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナルをXに標準装備としたほか、商用モデルを含めた他の4グレードにオプション設定している。
年明け以降、この新型アルトの売れ行きがスズキの行方を決める。乗用モデルの価格は、84万7800円~122万9040円。(編集担当:吉田恒)
■関連記事
・コストパフォーマンス最高のスポーツカー登場!?スズキ「アルト」フルモデルチェンジ
・15年型シボレー「ソニック」登場、ダウンサイジングやエコに興味なし!?
・ワゴンRと覇権を競うダイハツの本流「ムーヴ」が新型にスイッチ
・ホンダ「N-BOX スラッシュ」登場!「S-MX」「不夜城」コンセプト復活
・登録車新車販売、10月は本年4月に次ぐ大幅な前年割れを記録
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク