NEC、構造物内部の劣化を表面映像で推定する技術を開発

2014年12月10日 11:43

印刷

 NECは9日、道路橋などの構造物の内部劣化状態をカメラで撮影した表面映像から、計測・推定できる技術を開発したと発表した。世界初の技術だという。

 近年、1960年頃に建設された道路橋などのインフラ構造物が寿命の50年を経て更新時期を迎えており、その維持管理コストの削減が喫緊の課題となっている。今回、開発した技術は、NECの「超解像技術」、「映像・画像鮮明化技術」、および「4K超高精細映像高圧縮技術」の開発等で培った映像・画像処理のノウハウを応用したもの。

 特長は、映像中の物体の微小な動きを高速で高精度に検出できる、NEC独自の「被写体振動計測アルゴリズム」を開発した。微小な振動の解析に必要な「カメラ画素数の100倍の解像度での動き解析」において、データ量が多く、従来時間がかかっていた解析処理を、映像圧縮などで培ったノウハウを用いて高速化した。これにより高いフレームレートで撮影された映像の高速解析を可能とし、構造物表面の多数点の微小振動の同時計測が可能になった。

 また、亀裂・剥離・空洞など、内部劣化が生じている箇所の振動パターンの違いを発見・検出できる独自の「振動相関解析アルゴリズム」を開発した。これにより、目視で発見できない構造物内部の劣化状態を高精度に推定可能となった。

 これらの技術により、カメラ映像から物体内部の劣化状態を推定できるため、点検による設備の一時停止など事業機会損失の低減が望まれる、工場・プラント内の大型設備など、道路橋などの構造物インフラ以外への応用も期待されるという。NECは今後、同技術の実証を進め2015年度中の実用化を目指す方針だ。

関連記事