国宝・重要文化財の新しい魅力を照らし出す、LEDの最新システム

2014年12月7日 16:03

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記事提供元:エコノミックニュース

「京都非公開文化財特別公開」の展示用照明として、東寺および妙心寺で採用されたLED照明とEnOceanスイッチが、重要文化財を傷つけないシステムとして高い評価を受けている。

「京都非公開文化財特別公開」の展示用照明として、東寺および妙心寺で採用されたLED照明とEnOceanスイッチが、重要文化財を傷つけないシステムとして高い評価を受けている。[写真拡大]

 2014年は話題の多い年であったが、日本が世界に誇れる出来事の一つに、赤﨑勇終身教授(名城大学)、天野浩教授(名古屋大学)、中村修二教授(カリフォルニア大学)らが「高輝度・低消費電力白色光源を可能とした高効率青色LEDの発明」で2014年ノーベル物理学賞を受賞されたことが挙げられる。同発明によって、世界の光が大きく進化し、LED照明の時代が一気に幕を開けた。

 そんなLED照明は今、世界中のさまざまな場所、場面で活用されているが、日本ではとくに最近、国宝や重要文化財などの照明設備として導入されるケースが増えつつあるようだ。

 今年2月、奈良県葛城市の當麻寺の本堂、金堂、講堂の伽藍三堂にLED照明が採用されて話題となった。照明コンサルティング会社の灯工舎が設計施工を担当し、照明メーカーのシーシーエスがLED照明機器を納入している。そしてこの時、最も注目されたのが、熱や振動、圧力などの微小なエネルギーを電気に変える「エネルギーハーベスト」と呼ばれる技術を使用した、電源、配線、メンテナンス不要のワイヤレス無線通信技術「EnOcean(エンオーシャン)」が、日本の寺社に初めて採用されたことだ。この一連のLED照明スイッチシステムは、次世代無線通信規格推進団体「EnOcean Alliance」の主幹メンバー・プロモーターである半導体企業のロームが構築している。雑多な電源や配線で堂内の雰囲気を損なうこともなく、さらに大掛かりな工事が不要なので柱や壁を傷つけることもない。これまで十分な照明設備がなかった伽藍三堂や数々の国宝や重要文化財、そして當麻寺の信仰の中心となっている曼荼羅図を優しい光で照らし出し、発表時には数多くのメディアでも取り上げられた。

 そして先日も、こうしたLED照明システムは、10月31日~11月9日に開催された「第50回記念京都非公開文化財特別公開」(主催:公益財団法人京都古文化保存協会)の展示用照明に採用されて話題となった。

 採用されたのは「東寺灌頂院」と「妙心寺三門」の2ヶ所で、とくに妙心寺三門には、EnOceanスイッチも導入され、観音菩薩像や十六羅漢像、極彩色鮮やかな飛天や鳳凰、龍の図を4段階の照明で演出し、来場者たちを魅了した。

 東寺や妙心寺、そして當麻寺だけでなく、寺院などは照明設備が整っていないことが多い。建物自体が重要な文化財でもある。それらを傷つけずに保護した上で、さらに国宝や文化財本来の色や質感を伝える照明設備を施すのは至難の業だった。

 このEnOceanスイッチを用いたLED照明システムは、重要文化財を傷つけないシステムとして高い評価を受けているともに、ロームの半導体技術を活かしてギラツキやまぶしさを抑えた演色性の高い製品を使用しているので、文化財がもつ本来の色を忠実に再現していると評判だ。

 折しも、2020年の東京オリンピック開催を控え、海外からの観光需要の大幅な増加も見込まれている。このLED照明システムが日本全国に点在する寺社や重要文化財の展示の場などに広く普及すれば、日本のさらなる魅力を発信し、未来を照らす大きな力になるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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