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ヤフー、「知恵袋」への書き込みの削除依頼を拒否、投稿の「検閲」はしない
【9月10日、さくらフィナンシャルニュース=大阪】
「ヤフー:「知恵袋」の書き込みに対する削除依頼を拒否」と題して報道していた事件について、被告ヤフー(東:4689)の反論が明らかになった。
原告は日本商工リサーチで、ヤフーを相手どり、200万円の損害賠償請求を起こしていた。
発端は、被告が運営する電子掲示板「知恵袋」に、平成18年から25年にかけて、日本商工リサーチを低評価する「書き込み」が3件(本件記述)なされたこと。原告は、平成26年3月に被告に削除依頼を申請するが、被告は削除しなかった。
原告は、本件記述が原因で契約を断られるなど損害を受けているとして、今回の訴訟に踏み切った。
事件番号は、平成26年(ワ)第4794号。
9月5日に行われた第1回弁論準備手続で被告は反論を展開した。
要約すると次のようなものだ。
----原告の言う「本件記述」のそれぞれは、投稿者ひとりひとりの主観的な意見に過ぎず、原告をおとしめる力はない。また、「本件記述」の前後には、原告を穏当に評価する他の記述も併記されている。「知恵袋」のユーザーは、様々な意見を総合、比較検討してことがらを判断するから、「本件記述」単独で、原告の評判が傷つけられていることにはならない。
また、サイバーエージェント(東マ:4751)のアメーバブログにも平成22年、商工リサーチは同様の書き込みをされたが、削除依頼したところ、「サイバーエージェントは削除してくれた」と、原告は訴えていた。これに関して、ヤフー側は「不知」とだけコメントし、議論に応じなかった。
事件は第20民事部1係の担当で、裁判官は平野貴之氏(司法研修所第58期)、書記官は西坂貴子氏。日本商工リサーチ側の弁護士は河原林昌樹氏、ヤフー側の弁護士は本山正人氏、平野竜広氏がつとめている。
ヤフーとしては、ユーザーに「自由」に投稿させる事業形態を保持したい。原告の訴えに応じ、投稿を削除するような「検閲」的な行為をするわけにはいかないという論陣を張っている。
日本商工リサーチとしては、本件記述を理由に仕事を断られ、「名誉」が傷つけられたと主張する。
原告の「名誉」と被告の「表現の自由」の衝突は、よくある問題だ。しかし、どのような種類の「名誉」が、どのような中身の「自由」が争点になっているのかは、事例によって全く違う。
日本商工リサーチとヤフーが、本件訴訟に何を賭けて臨んでいるか、進展を追っていきたい。
次回期日は10月14日。被告ヤフーの答弁を受けて、日本商工リサーチのさらなる反論が展開される予定。【了】
フリーライター 井上 聡/いのうえ・さとし。1983年生まれ、福岡県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程在学中。専攻は美学・国文学。趣味は加茂川沿いをランニング。
ヤフー:「知恵袋」の書き込みに対する削除依頼を拒否(http://www.sakurafinancialnews.com/news/4689/20140716_6)
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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