いとも簡単に音声再生機能を実現できる新型LSI登場

2014年7月20日 19:55

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記事提供元:エコノミックニュース

ロームグループのラピスセミコンダクタは7月14日、音声再生機能を1チップで簡単実現する、高効率D級スピーカアンプ搭載音声再生機能付きローパワーマイコンを発表した。

ロームグループのラピスセミコンダクタは7月14日、音声再生機能を1チップで簡単実現する、高効率D級スピーカアンプ搭載音声再生機能付きローパワーマイコンを発表した。[写真拡大]

 近頃、電化製品がよく喋る。スマートフォンやタブレット、ナビゲーションなどの音声案内機能をはじめ、家の中では家電製品や、給湯器や警報機などの制御パネル、外に出れば自動販売機やエレベーター、電車の券売機など、生活のいたるところで人工的な音声が溢れている。多少、お節介に思えるときもあるが、便利であることは間違いない。とくに初めてその機器を操作する場合や、複雑な操作が必要なときは非常に便利だし、目で確認しにくい状況のときや緊急の警報などが必要な場面では、音声案内が最大限に力を発揮する。

 しかし、「人工的な音声を出す」ということは、実はそんなに簡単なことではない。人工的な音声を作る音声合成LSIとその制御を行うマイコン、アンプ、スピーカーなど、たった一声発するだけでも、いくつもの機器を経由しなくてはならないのだ。近年、電子機器類はおしなべて、小型軽量化、多機能化が進んでいる。これらの相反する欲求に答えるためには、従来の搭載部品をいかに省スペース化するかという宿命的な課題がのしかかる。音声再生機能についても例外ではない。また、音声再生機能についてはさらに、小型化と共に電池交換なしに長期間使用するための低消費電力化や、警報機など産業機器用途ではとくに安全性と安定性も求められる。

 ところが、それらの課題を一気に解決するLSIが、ロームグループのラピスセミコンダクタより発売されたのだ。同社が開発した「ML610Q304」は、これまで、センサーからスピーカーまでの間に介在していた、マイコン、音声合成回路、スピーカーアンプ、不揮発メモリ、発振回路の5チップを、なんと1チップで実現した、高効率D級スピーカーアンプ搭載・音声再生機能内蔵ローパワーマイコンである。スピーカーを接続するだけで音声再生機能を簡単に実現することができる。さらに音声再生機能をハードウエアで実現しているため、音声ミドルウェアのように、マイコンのシステム制御処理に負荷を掛けることなく高音質な音声再生ができるのも、大きな魅力となっている。また、高効率なD級スピーカーアンプを搭載したことで、必要な音量を維持したまま、音声再生時の消費電流を従来品に比べて約40%も削減することに成功した。そのことで、電池駆動の機器にも飛躍的に組み込みやすくなった。しかも、1チップになったことで、故障リスクも低減されているという。

 今回開発されたこのLSIの登場によって、設計が格段に簡単になるので、材料面だけでなく開発コストも抑えることが出来る。省スペースで低コストなので、これまで搭載を断念していたような機器にも導入が期待される。音声再生機能の可能性がさらに広がりそうだ。(編集担当:藤原伊織)

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